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日本全国の杉(スギ)一覧と検索

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樹種 14件 すべてを表示

 

マツ科マツ属

Pinaceae Pinus

アカマツ

学名:Pinus densiflora

●分布・産地
本州の北部から四国,九州,屋久島に分布。クロマツは海岸の防風林として広く造林されるが,アカマツは海辺から離れた地域に見られることが多い。なお,両者の雑種もあり,アイグロマツと呼ばれる。

●材の特徴
マツ類のうちの硬松類に分類され,気乾比重は0.52(平均値)と重硬。心材はやや黄色を帯びた淡桃色で赤褐色を帯びたものもあり,辺材は黄白色である。樹脂道があるため,材面に「やに」が出てくることが多いため,木材として利用する際には注意が必要。水中に完全に入っているときは耐久性がある。かつては長い丸太が大きなビルを建てる際に打込む杭用材に用いられた。木材の形が良くなかったり、変色することがあるため,表面に出ない構造用に多く利用される。

●用途
建築(主として軸組・敷居・床板),杭木,枕木,経木,木毛,薪,割箸,パルプ材などが知られている。


イチイ科イチイ属

Taxaceae Taxus

イチイ アララギ オンコ

学名:Taxus cuspidata

●分布・産地
サハリン島,千島,北海道,本州,四国,九州,朝鮮,中国東北部,シベリア東部などに分布。温帯北部・亜寒帯に見られる。最近では非常に少なくなり,特に大きいものを見る事は稀で,原木の市場でも,細くて短いものがほとんど。

●材の特徴
心材と辺材の色の差は非常にはっきりしていて,心材は濃赤褐色,辺材は淡色で狭い。気乾比重は0.48(平均値)。成長は遅いため,年輪の幅は非常に狭くなっている。老齢のものは木理が通直。保存性が高い材。切削が容易なのも特徴。

●用途
大きいものは丸太の形で床柱として使われるが,製材の歩留まりが悪いため,板や柱として使われることは少ない。飛騨高山の一刀彫りなど細工物として多く使われ,かつては鉛筆の軸として利用されたこともある。


イチョウ科イチョウ属

Ginkgoaceae Ginkgo

イチョウ 公孫樹

学名:Ginkgo biloba

●分布・産地
中国原産で,日本には古くから街路樹や庭園樹として植栽されている。北海道,本州,四国,九州に分布。

●材の特徴
心材と辺材の色の差はほとんどなく,全体的にやや黄色味を帯びた白色。早材と晩材の差がほとんどなく,木材は均質で,年輪ははっきりとは現れない。気乾比重は0.55で硬さは中庸,加工がしやすく仕上がりのよい材。

●用途
建築,彫刻(木魚,印判),漆器木地,茶棚,仏壇,碁盤(カヤよりは廉価だがカツラよりは高く評価),まな板など加工しやすいことを利用した用途が知られている。なお,銀杏は澱粉が多く特有の風味があり茶碗むしなどの料理に用いられる。ただし食べ過ぎると下痢になる恐れがある。また,咳止めの薬にも使われている。

●備考
イチョウは葉は広葉樹のように広い裸子植物で,針葉樹と広葉樹のどちらにも分類されないといわれることもあるが,木材の組織から見れば,道管をもたないため,針葉樹に近いといえる。


マキ科マキ属

Podocarpaceae Podocarpus

イヌマキ 犬槇 クサマキ

学名:Podocarpus macrophyllus

●分布・産地
本州,四国,九州に分布。台湾、中国大陸南部にもみられる。暖かい地域によくみられる樹種であるが,蓄積は多くない。この属の樹種の数は世界には約80種あり,熱帯アジアにも同種のものがある。

●材の特徴
心材と辺材の色の差はほとんどなく,木材の色は褐色を帯びた黄色〜暗黄色。年輪ははっきりとはしていない。木理は通直。気乾比重は0.54(平均値)で針葉樹としてはやや重硬。湿気に強く,保存性が高い。切削などの加工も比較的容易。

●用途
白蟻に対して抵抗性があるので,沖縄では貴重な建築用材とされている。なお,植栽木として,庭木や垣根にされることもある(静岡地方ではミカン畑や茶畑の周囲に垣根のようにして植えられることもある)。


マツ科トウヒ属

Pinaceae Picea

エゾマツ

学名:Picea jezoensis

●分布・産地
北海道,南千島,樺太,沿海州(シベリア南東端の地域),朝鮮,中国東北部などに分布。北海道を代表する樹種で,トドマツとともに「エゾ・トド」と呼ばれている。ロシアからの輸入材にも含まれている。北海道にはよく似た樹種で樹皮の赤いアカエゾマツがある。

●材の特徴
心材と辺材の色の差のほとんどないが,心材はやや桃色を帯びている。長期間大気にさらされると,かなり色が濃くなる。ほとんど匂いがないのも特徴。樹脂道があるが,材面に「やに」が出ることはあまりない。気乾比重は0.43(平均値)。耐久性は低い。

●用途
主に北海道で建築,建具,パルプ,木毛,経木として使われる。北海道の住宅にはエゾマツやトドマツが用いられていることが多い。また,音響的な性質が,楽器用材によく合うので,ヴァイオリン,ピアノなどに使われる。また,スピーカーのコーンに使うパルプ材にもなる。


イチイ科カヤ属

Taxaceae Torreya

カヤ

学名:Torreya nucifera

●分布・産地
本州,四国,九州,対馬,済州島に分布し,暖帯の林に見られる。

●材の特徴
心材はやや褐色を帯びた黄色で,辺材は黄白色。心材との色の差は少ない。早材から晩材への移行が非常に緩やかなため,年輪はあまりはっきりせず,カヤの年輪を正確に数えることができないことがある。気乾比重は0.53(平均値)。表面の仕上がりは良好で,材面の光沢は高い。耐久性が大変高いため,かつては風呂桶を作ったことがあった。白蟻に対しても抵抗性が高い。

●用途
産量は少ないが,大木から注意深く製材した盤を使って,高級な碁・将棋盤を作ることはよく知られている。蓄積が少なく,また成長が遅いため,建築材として使われることはない。


マツ科

Pinales Pinaceae

カラマツ (ラクヨウショウ)

学名:Larix leptolepis

●分布・産地
本州中部で海抜高1000〜2000mの地域に分布する。北海道,東北地方,本州中部の寒冷地帯の重要な造林樹種である。産地周辺の地域で利用される量が多い。日本に産する針葉樹のうち唯一の落葉樹である。

●材の特徴
心材の色は褐色(若齢木のうちは淡色であるが,樹齢とともに濃色になっていく)で,辺材は黄白色。年輪ははっきりとわかり,木理は通直でないことが多い。樹脂道をもっており「やに」が材面ににじみ出てくるため,木材としては表面に出るような用途としてはあまり使われない。カラマツの樹形は美しく,柔らかい感じがあるが,気乾比重は0.50で,重硬で荒々しい材である。造林した若齢木の材は乾燥の際,割れや狂いが出やすく,扱いにくい材とされているが,最近の乾燥技術により解決されつつある。心材の保存性は中庸で,耐水性が高いため,杭丸太として多く利用される。ゆっくりと生長した老齢のカラマツは「天カラ」と呼ばれ,評価が高く,銘木として高い値段で取引される。

●用途
建築(主として表面に出ない部材),杭,土木用タンネージ,パレット,家具など。


ヒノキ科ヒノキ属

Cupressaceae Chamaecyparis

サワラ

学名:Chamaecyparis pisifera

●分布・産地
本州北部から九州北部にわたって分布。木曽・飛騨などの中部山岳地帯に多い。造林は多くはない。木曽五木の一つ。

●材の特徴
心材は,くすんだ黄褐色ないし紅色をおびた黄褐色。ヒノキと近縁であるが芳香はかなり違っている。年輪はややわかる程度。気乾比重は0.34(平均値)で軽軟な木材。加工は容易,保存性は中庸で,水湿によく耐えるため,桶などに使われた。

●用途
かつては家庭の風呂桶や手桶,飯びつなど,日常の生活の必需品に使われた。今でも浴室用品,台所用品の他,建築,器具,包装などにも使われる。


スギ科スギ属

Cupressaceae Cryptomeria

スギ 椙

学名:Cryptomeria japonica

●分布・産地
北海道南部以南の日本全土に古くから造林されてきた。日本の代表的な樹種の一つ。現在は,ほとんどが人工造林地産で,吉野,尾鷲,天竜,日田,飫肥(おび),智頭などの各地方はスギの産地として有名。なお,天然のスギの産地としては,秋田地方の秋田杉,屋久島の屋久杉などが挙げられる。

●材の特徴
心材と辺材の色の差は明らかで,特に心材は桃色から濃赤褐色までかなり幅があり,ときには黒くなっているもの(クロジン)もある。心材の保存性は中庸である。年輪ははっきりしており,特有の芳香をもっている。日本各産地における造林方法の違いにより,材質は幅広い。気乾比重は0.38(平均値)で,日本産の針葉樹としてはやや軽軟。

●用途
古代の住居跡から大量のスギ材が発見されることが多く,杉は古くからわれわれの生活に結びついていたことがわかる。現在でも建築材(柱・板),天井板,磨丸太,家具,器具,包装,樽,下駄,割箸,造船など幅広い用途がある。


マツ科ツガ属

Pinaceae Tsuga

ツガ トガ

学名:Tsuga sieboldii

●分布・産地
関東以南の本州,四国,九州,屋久島などに分布。同属のコメツガは本州中部以北の亜高山帯およびわずかに四国,九州に分布する。モミとともに比較的低い所でモミ・ツガ林を形成する。本来は山地の尾根や岩場などの表土の少ない場所に生育する。

●材の特徴
かつて関西では,ツガが建築や建具用材として好まれたが,現在では,蓄積が少ない上,造林も伐採もされることがほとんどないため,木材として目に触れる機会は稀。現在日本で使われているツガ類のほとんどは北米産の米栂(ベイツガ)。ツガの成長はゆっくりとしているため,年輪幅が狭く,製材面はいわゆる糸征になる。ツガ材を鉋で削ると材面に白い粉が筋状に出ることがあるが,これはフロコソイドという有機物質で,鼠(ネズミ)が嫌うため,ツガは鼠に噛まれないと言われている。心材は淡桃褐色でやや紫色を帯び,辺材はやや淡色,年輪ははっきりと見え,肌目は粗,気乾比重は0.50(平均値)で,針葉樹材としては重硬。保存性は中庸で,乾燥は容易。

●用途
建築(柱・長押・鴨居),枕木,包装、車輌、パルプ材など。


ヒノキ科クロベ属

Cupressaceae Thuja

ネズコ クロベ 黒檜

学名:Thuja standisii

●分布・産地
日本特産で,本州中部の山岳地帯を中心に,本州の北部,さらに中国・四国地方にも分布。昔から木曽地方に多く分布し,木曽五木の一つとされている。なお,日本でネズコとして使われているのは,実は北米産のベイスギ(ネズコ類)であることもある。

●材の特徴
辺材(黄白色)と心材(くすんだ黄褐色と褐色)の境界がはっきりしている。早材から晩材への移行はかなり急なため年輪ははっきりと見える。肌目は精,気乾比重は0.36(平均値)で,軽軟な木材。切削などの加工は容易だが,表面仕上げは良好とはいえない。耐久湿性,吸湿性に優れているが,割れやすい。保存性は中庸。

●用途
天井板,戸,障子などの建具材,箱などの器具材,和机,下駄,指し物,曲物など。スギやヒノキの代用として広く用いられている。福島県檜枝岐村の曲げ輪っぱはよく知られている。昔は樹皮を火縄に用いた。


ヒノキ科ヒノキ属

Cupressaceae Chamaecyparis

ヒノキ 桧 扁柏

学名:Chamaecyparis obtusa

●分布・産地
ヒノキといえば,木曽ヒノキが最も有名(木曽五木の一つ)。スギに次いで造林面積が広く、スギとともに日本の代表的な樹種。福島県東南部以南の本州・四国・九州に分布。天然木としては,木曽・高野山・高知県西部など,造林木としては,尾鷲・吉野・天竜・和歌山などの各地方産のものが有名。

●材の特徴
心材は淡紅色で,辺材はほとんど白色。気乾比重は0.38(平均値)。1年間に形づくられる細胞の形の変化が少ないため,年輪はあまりはっきりとはしていない。肌目が精で,均質な材質をもつ。仕上がると,美しい光沢があり,特有の芳香があるため,材としての価値は高まる。心材の耐朽性が高く,よく長期の水湿に耐える。最近では大径木の入手が難しくなり,台湾ヒノキ,台湾スギ等の外国産の近縁の木材が代替されることが多い。

●用途
優れた性質をもつため,多くの用途に高品質な材として使われる。特に仏閣や神社を建てるための木材として古くから用いられてきた。また,風呂桶用材や俎板用材としても珍重されてきた。他にも建築・家具・彫刻(仏像など)・木型・曲物・桶・蓄電池のセパレーターなどに使われる。


ヒノキ科アスナロ属

Cupressaceae Thujopsis

ヒバ 

学名:Thujopsis dolabrata

●分布・産地
北海道南部から本州・四国・九州に分布。 北海道(渡島半島)から本州の関東北部まで分布するものをヒノキアスナロと呼び,日本の三大美林の一つである青森のヒバ林はよく知られている。本州のより南の高い山地・四国・九州にも見られるものをアスナロと呼び,木曽五木の一つとして有名。

●材の特徴
木材は淡黄色で,早材から晩材への移行は緩やかであり,年輪はとくにはっきりとしているとはいえない。辺材と心材の色の差もあまりない。気乾比重は0.45(平均値)で,材はやや軽軟,特徴的な匂いがある。心材部分の保存性が高く,よく水湿に耐える。また,ヒバ材の特徴として,抗菌性のあるヒノキチオールが存在することが挙げられる。なお,日本産の樹種ではヒノキチオールは,ヒバに含まれており,ヒノキにはない。もともとはタイワンヒノキで発見されたもの。

●用途
建築,器具,土木材,風呂桶などの用途がある。特に耐朽性が高いことを利用した土台材は定評がある。東北から能登半島へ移入されたヒノキアスナロは,アテと呼ばれ,輪島塗の素地としてよく知られている。また,平泉の中尊寺はヒバを使っていることで知られている。現在では,ベイヒバが輸入されて,同じような用途に用いられているため市場での競合が厳しくなっている。


マツ科モミ属

Pinaceae Abies

モミ

学名:Abies firma

●分布・産地
本州の中南部から四国・九州・屋久島まで分布。比較的低い山地にツガとともに,モミ・ツガ林を形成する。モミの同類としては,北海道のトドマツや,その他の地域のウラジロモミ・シラベ・アオモリトドマツなどが挙げられる。

●材の特徴
辺材と心材の色はほとんど白色。気乾比重は0.44(平均値)。年輪内の細胞の形の違いはかなり大きく、年輪がはっきりとしている。肌目は粗く,傷などによって外傷樹脂道ができ,やに,入皮,アテなどの欠点が出やすく,節が大きい。防虫性がある。木材用に早くから伐採されてきたため,現在では国産のモミ類の蓄積が減り,ほとんどが北米産あるいはロシア産の同類の木材によって代替されている。

●用途
淡材であること,無臭であることの特徴を活かし,種々の日用品や食品に接するものに多く用いられる。また,白木のままで清浄な感じの木材が神聖な感じを与えるということで,冠婚葬祭,神・仏・葬祭に関連した道具用によく使われてきている。モミは軽くて柔らかいため加工性がよく,建築・建具・包装・器具・卒塔婆(そとうば)・蒲鉾の板・マッチの軸木,パルプ材などさまざまなものに使われている。特に,防虫性があることから,収納用の箱や棺などに使われる。


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