林業従事者の推移と高齢化

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林業従事者数と高齢化率の推移

日本の林業の低迷に伴なう各地の木材生産活動の停滞などの影響で、林業従事者は、年々減少しています。昭和30年には約50万人を超えていましたが、平成27年には約5万人となり、昭和30年と比較して、10分の1にまで減少しました。この間に山村地域の高齢化も進行し、林業の高齢化率(※)は昭和35年の4%から、平成12年には30%まで上昇しました。

※高齢化率:65歳以上の従事者の割合

林業従事者数と高齢者比率の推移のグラフ

総務省「労働力調査」「国勢調査」、林野庁「森林・林業白書」等をもとに作成

しかし、平成17年から平成22年にかけて、高齢化率は下がっています。 これは、高知県をはじめ、地方自治体による広報活動などで、若者の林業従事者が増えていること、林野庁の実施している「緑の雇用」事業の効果であると考えられます。

林業従事者数と高齢化率の推移
林業従事者数
(人)
高齢化率
昭55(1980) 146,321 8%
昭60(1985) 126,343 10%
平2(1990) 100,497 14%
平7(1995) 81,564 23%
平12(2000) 67,558 30%
平17(2005) 52,173 27%
平22(2010) 51,200 21%
平27(2015) 45,440 25%
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林家の収益

日本の林業の低迷に伴い、林家の収益も減っています。農林水産省の調査(林業経営統計調査)によると、家族で林業を経営しており、20ha以上の山林を保有している林家(=比較的広い森林を保有する林家)の経営状況(平成20年調査)を見ると、林業経営費は168万円、林業粗利益は178万円です。つまり、林業所得は年間で10万円という計算になります。

これでは林家の家族が生活できるだけの収入になりません。森林所有者の林業に対する意欲が低下したり、林業従事者が減少したりするのも、もっともなことで、林業を営む林家の戸数も年々減少しています。

このような現状のため、林家において相続を契機として、経営規模を縮小したり、後継者が林業経営自体を放棄する例が目立ち、林業従事者数が減少しています。

林業の年間所得のグラフ

 


林業戸数の推移のグラフ

 

上記のとおり、現在、日本の林業は従事者の減少と高齢化等による後継者(担い手の不足)の問題を抱えています。その影響で、日本各地で荒廃した森林が目立つようになりました。さらには、限界集落と呼ばれる問題も起こっています。

森林の再生、山村の復興のためにも「林業の担い手」が求められています。

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林業の担い手を育成する「緑の雇用」事業

「緑の雇用」事業は、厚生労働省が実施した緊急雇用対策「緑の雇用担い手育成対策事業」のことで、林野庁が平成15年度から実施している事業です。

新たに林業で働きたいという人たち(特に、林業への興味・意欲を持つ若者)を対象に林業の就業に必要な基本的技術や技能の習得を支援するための研修等を行い、林業の新たな担い手の確保と育成を促進しています。

特に最近では、森林整備による、地球温暖化防止森林吸収源対策の推進を視野に入れて実施されています。

平成14年以前の新規林業従事者数は、全国で2000人程度でしたが、緑の雇用事業が始まった平成15年以降は3000人を超え、当事業により、林業の新規従事者数は顕著に増加しています。

林業の新規従事者数のグラフ

 


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