大山 中国地方の最高峰

北西から眺める大山は「伯耆富士」と呼ばれる

北西から眺める大山は「伯耆富士」と呼ばれる

大山(標高1,709m)は、日本海に面した孤立峰であり、中国地方の最高峰です。鳥取砂丘と並ぶ鳥取県の自然遺産であり、この地区の国有林野は「大山森林生態系保護地域」として指定されています。また、大山は、NHKで実施された日本名峰ランキングでは富士山、槍ヶ岳に続いて第3位に選ばれました。

大山の美しい姿は四方より眺められ、見る方向により全く異なる山容になるという特徴を持ちます。北壁は、断崖絶壁の険しい表情をみせ、南壁は、長大な屏風のような絶壁で雄大な表情をみせます。また、北西側から眺めると長く裾野を広げた富士山に似たすがたに見え、伯耆(ほうき)富士と呼ばれています。さらに、四季折々に移ろいをみせるその姿から、人々の心のふるさとの山として古来から親しまれてきました。

また、大山には上記のような独特の山容や地質条件とともに、強風、寒冷、多雨、多雪といった気象条件などもあいまって、特有の植物群落や生態系が形成されています。山頂部に生育し、特別天然記念物に指定されている、ダイセンキャラボクの純林から山腹地帯の原生的なブナ天然林までの垂直的な植物群落の推移がみられます。また、崩壊地に発達するさまざまな植物群落の遷移段階がみられることから、学術的にも価値の高い植生が形成されています。

動物相はクマ、シカなどの大型哺乳類は生息しないものの、鳥類の宝庫ともいわれ、昆虫類も大陸系、北方系、南方系と多様な種が分布しており、豊かな生き物たちの生命の営みが繰り広げられています。

大山の国土保全対策

大山には、頂上の稜線を境として大崩壊地があります。これらの崩壊地を含む荒廃地面積は236haあり、そこから流失する土砂などは、年間約7万m3に及んでいます。不安定土砂量も約80万m3と推定され、この地域は、全国でも高い荒廃度となっています。このため、林野庁(近畿中国森林管理局)では、土砂などを抑制し、渓流にある不安定土砂の移動を調整するなどして、山くずれ、地すべり、土石流等を起こりにくくするなどの保全対策を行っています。


〔出典・参考文献等〕
林野弘済会「林野時報」/近畿中国森林管理局 治山事業/wikipedia

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