渓流の貴婦人・ヤマセミ (カワセミ科)

渓流の貴婦人・ヤマセミ

渓流の貴婦人・ヤマセミ

山の谷川に住むカワセミの仲間に、ヤマセミがいます。昔から一沢一番(つがい)といわれるほど数が少なく、またとても警戒心の強い鳥で、なかなかその姿を目にすることの難しい野鳥です。その姿は清楚で、まるで渓流の貴婦人と言ったところでしょうか。美しい鹿の子模様をまとい、雌雄で微妙に色合いが異なっています。オスは白と茶を、メスは白と黒を基調にしています。

ヤマセミの大きさはハトほどです。主な食べ物は、渓流に住む20センチほどのヤマメやイワナですが、どちらも非常に警戒心の強い魚なので捕らえるのは至難の業です。そのためにも一つの沢を独占するほどの広い縄張りが必要なようです。

ヤマセミはカワセミと同じく、川岸の土手に深さ1メートルほどの横穴を掘って、土の中で卵を抱き子育てをします。この変わった繁殖の方法が災いして、近年の護岸工事や砂防堰堤工事などで巣穴の掘れる土の川岸を失い、特に川の上流部で急速に数を減らしています。それとは反対に、川の中流部では最近自然工法か取り入れられるようになり、しだいに川岸のコンクリートか取り除かれて昔ながらの土の土手が戻ってきています。これを機会に、本来は上流に暮らすはすのヤマセミたちか中流へと移動をし始めているのです。中流に下ることで食べ物の魚の量は増え、漁は楽になりますし、人目につくことも多くなり、したいに警戒心の薄れたものか増えてきているのも確かです。彼らの姿か見やすくなったのはありがたいのですが、一日も早く上流部本来の自然が取り戻されて、昔ながらの凛々しい姿も見てみたいものです。


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