木材を使った建造物

01/08

木材は人類が手にした最古の資材

木材は、石材と並んで人類が手にした最古の資材です。日本でも縄文時代の竪穴式住居から、現代の木造住宅にいたるまで、延々と使い続けられています。日本は、特に森林資源が豊富にあるため、木造建築物が多く、「木の文化を育んできた国」といわれています。

世界最古の木造建築物 法隆寺

世界最古の木造建築物 法隆寺

02/08

木材加工技術の発達

木材の加工技術も時代とともに発達してきました。最近では、集成技術、不燃技術、防蟻技術などの技術が駆使されるようになりました。その結果、木材は、耐久性を持ち、災害にも強い素材として扱われるようになり、鋼材やコンクリートとなどと代替できるほどになりました。そして、大規模な公共建造物等にも木材が使用されるようになってきました。

宮崎県の日向市駅/地元産の杉を使用

宮崎県の日向市駅/地元産の杉を使用

03/08

木造の競技場・運動施設等

大館樹海ドーム/秋田県

大館樹海ドーム

大館樹海ドーム

秋田スギの集成材を使って建設された秋田県の大館樹海ドームです。格子状の梁は、秋田スギでできており、実際に見ると、とても美しいものです。世界最大級(ドームは長径178m)のスギ集成材ドームです。

※集成材とはラミナと呼ばれる厚さ2.5~4cm程度の板を強力な合成樹脂接着材で複数枚重ねて作る製材。1枚1枚のラミナは十分に乾燥させるため、狂いが少なく強い木材となります。重ねることで、もともとの木の強度から、さらに強度を増すことができます。なお、「集成材」は「エンジニアウッド(強度性能が保証された木材)」などとも呼ばれます。

※ラミナは小径の間伐材なども有効活用することができます。間伐材の積極的な活用は、荒廃が目立つようになった日本の森林の整備を促進し、健全な森林を育成します。

新国際競技場(東京オリンピックメインスタジアム)

国産材(カラマツの集成材、スギの集成材)を積極的に利用し、日本の伝統的な木構造に現代ならではの技術が駆使されます。外観では、日本建築の特徴を活かすべく、梁と柱と開口で構成され、日本の木の文化を象徴するようなスタジアムになっています。スタンドの観客席は、屋根の木材に包み込まれるような「日本らしさ」を感じる空間となりました。

東京大会メインスタジアム(パース:日本スポーツ振興センター)

メインスタジアム外観(パース:日本スポーツ振興センター)

04/08

木造の橋

かつて木の橋は日本の各地で見られましたが、高度成長期には、次々と鋼材の橋やコンクリートの橋に置き換えられ、姿を消していきました。ところが、最近、全国的に木橋が復活しつつあります。木造の建造物は、環境負荷が小さいこと、美しい景観を維持できることなどが見直されているのです。

かりこぼうず大橋/宮崎県

かりこぼうず大橋/宮崎県

宮崎県の西米良村では2003年に日本最大の木の車道橋『かりこぼうず大橋』が完成しました。集成材(宮崎県産スギ集成材1,300m3使用)の技術や防腐処理技術を使い、耐久性があり、設計も一般の橋と同じ手法で設計され、安全性も保証されています。

05/08

木製ガードレール(長野県)

上記のかりこぼうず木橋のように木造建築物は日本の景観によく馴染むため、国をはじめ、地方公共団体、企業・団体などで、公共建築物に木材を積極的に利用されるようになりました。

その一例としてガードレールが挙げられます。よく見るガードレールは白色の鉄製ですが、最近では木製のガードレールが登場しています。主に、間伐材で作られ、衝突試験に合格したものが使われています。鉄製から木製に換えることにより日本の景観を回復することができますし、間伐材を積極的に使うことにより、森林整備を進め、環境保全にも役立ちます。

木製ガードレール/長野県下諏訪町八島高原

木製ガードレール/長野県下諏訪町八島高原

06/08

木造校舎(三重県/亀山市立関中学校)

全国で学校等の教育施設を木造にする事例も増えています。木のぬくもりや、やさしさといった質感に加え、衝撃を吸収したり、室温や湿度を調整するなどの特性が教育の現場で再評価されているためです。

三重県/亀山市立関中学校 校舎外観

三重県/亀山市立関中学校 校舎外観


三重県/亀山市立関中学校 吹き抜けの多目的ホール

三重県/亀山市立関中学校 吹き抜けの多目的ホール

※三重県亀山市の関中学校は生徒数約160人の学校。平成23年3月に木造の新校舎が完成しました。地元産のスギ材等を柱、壁、天井等に使用し、「木」のぬくもりを感じる校舎です。また、重要伝統的建造物群保存地区に選定された関宿の町並み近くにあり「まちづくりと調和のとれた学校施設」であることなども高く評価され、平成23年度木造施設普及コンクールで農林水産大臣賞を受賞しました。

07/08

新幹線の内装(JR九州/九州新幹線)

九州新幹線のつばめの内装

九州新幹線のつばめの内装

博多 - 鹿児島中央間を最速で1時間19分で走る九州新幹線のつばめ。最近登場した800系の車両には木質素材で内装されています。客室の仕切り壁にはクスノキが使用され、ブラインドにはサクラが使用されています。木の持つ温かい雰囲気が活かされ、和の雰囲気を持つ癒しの空間となっています。

08/08

高齢者福祉施設/医療施設など

高齢者福祉施設

高齢者福祉施設

高齢者福祉施設や医療施設等で木材を取り入れている例も増えています。木質の空間は健康的で快適な環境を創出します。ゆとりやうるいおいを感じ、不快な症状や痛みを和らげてくれます。


〔参考文献・出典〕
日本木材学会「木のびっくり話100」/法隆寺のリーフレット/林野庁「森林・林業白書平成15年度」/長野県ホームページ/三重県ホームページ/財団法人日本木材総合情報センター・全国木材協同組合連合会「木が守る地球と暮らし」/flickr


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