水源涵養(かんよう)機能 緑のダム

森に雨が降ると、雨水をゆっくりと地下に浸透させていき、降水量の約35%を地下水として蓄えることができるといわれます。

豊かな森林は、雨水をたくわえて、きれいにしながら少しずつ時間をかけて流すので川の水は澄んでいて、渇水もしにくくなるんだ。それと、森林の落葉や下草が雨滴による表土の流出を防いでいて、木の根が土を押さえて、土の流出や山崩れを防いでいるんだよ。

水源涵養機能 緑のダム

水源涵養(かん養)機能/緑のダム

森林に降った雨や雪などの降水は、すぐに森林から流れ出ることはなく、地中(土壌)に浸透し、地下水となりゆっくりと流れ出ます。このため、洪水や渇水が緩和されたり、澄んだ美しい水を私たちに供給してくれます。この働きのことを「水源かん養機能」と呼んでいます。

※森林に降った雨の50%は地中に浸透し、地下水(35%)となり、ゆっくり川や海に流れ出たり、木の根に吸い上げられて(15%)木の葉から蒸散します。

おいしい水の源は森林

私たちの飲む水は、おもに森林でつくられる(水源かん養)

森林の表土・林床(=森林の地面)には、コケや草の他、長い年月の間に積もった落葉・落枝(落ち葉や木の枝)などの多くの堆積物があります。そこには微生物をはじめ、多くの土壌生物が生息しています。土壌生物は堆積物を分解し、栄養分を含んだ腐葉土層をつくります。

土壌生物の活動により、森林土壌には「孔隙(こうげき)」と呼ばれる大小無数の孔が存在するようになります。すると森林土壌は、スポンジのようになり、雨水をすみやかに地中に浸透させるたり、保水の機能も持つようになります。このため、雨が降っても、下流の河川が急に増水することはなく、また日照りが続いても水が枯れることはありません。つまり、雨水がゆっくりと河川に流されるので、洪水や渇水が緩和されるのです。そのため森林は「緑のダム」と呼ばれることがあります。

※森林土壌は6割程度が孔隙であり、降水量の約35%を地下水として蓄えることができるといわれています。

また、雨水が地中に浸透する過程で水を濾過(ろか)したり、化学物質を吸い取って水を浄化しています。森林土壌は、いわば「浄水器」のような働きをするのです。さらに、岩石の間を通ることによりミネラル分を含むようになり、いわゆる「おいしい水」を私たちに供給してくれます。

森林に降った雨水のゆくえ