森林の持つ「地球環境保全機能」

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森林の地球環境保全機能とは

森林の地球環境保全機能とは、森林が大気や水、土壌、生物のバランスを整え、地球全体の環境を健全に維持する働きを指します。具体的には、二酸化炭素を吸収して地球温暖化を防止する機能、水を蓄えて洪水や渇水を緩和する機能、土砂災害を防止する機能、生物多様性を守る機能など、多方面にわたる公益的な役割を担っています。中でも地球温暖化防止機能は、人類の未来に直結する課題として特に重要視され、国内外で大きな注目を集めています。

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森林の温暖化防止機能とは

森林の木々は大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、地球温暖化を防止するはたらきがある

森林の木々は大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、地球温暖化を防止するはたらきがある

森林の温暖化防止機能とは、森林が光合成を通じて大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収・固定し、その量を減らすことで地球温暖化の進行を抑えるはたらきを指します。森林は大気と陸上生態系の間で炭素を循環させる重要な役割を担っており、木や土壌に炭素を長期間貯蔵することで、温室効果ガスの増加を抑制しています。

人間の社会活動によって排出された二酸化炭素(CO2)は、地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの代表です。森林は光合成によって二酸化炭素を吸収し、炭素として木の幹や枝、根、そして土壌に蓄えています。

日本の森林が光合成によって吸収する二酸化炭素は、年間約5,020万トン(2022年度)です。これは日本全体の温室効果ガス排出量約1,135百万トン(同年度)の約4〜5%にあたります。森林による吸収は、国内の自家用乗用車が排出する二酸化炭素量に匹敵する規模であり、森林が果たす温暖化防止の役割の大きさが分かります。

また、世界的に見ても森林は「地球の肺」と呼ばれるほど重要で、国連の気候変動枠組条約(UNFCCC)やパリ協定などでも、森林の保全と持続的利用は地球温暖化対策の柱の一つとされています。

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木材利用による炭素固定と循環

樹木が大気中から吸収した二酸化炭素は、木材になっても炭素の形で長期間にわたり固定されます。住宅や家具、建築材として使われている間は、実質的に大気中の二酸化炭素を減らした状態を維持していることになります。

さらに、鉄やコンクリートと比べて木材は製造時のエネルギー消費が少なく、ライフサイクル全体で温室効果ガスの排出削減につながるという利点もあります。近年は「木造高層建築」や「CLT(直交集成板)」といった新しい木材利用技術が注目され、環境と経済の両面で期待されています。

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燃焼とカーボンニュートラルの考え方

木材を燃やすと二酸化炭素は再び大気中に放出されます。しかし、これはもともと大気中に存在していた二酸化炭素を一時的に木に固定していただけであり、長期的に見れば「増えても減ってもいない」状態になります。この考え方をカーボンニュートラルと呼びます。

一方で、石油や石炭などの化石燃料は地中深くに長期間固定されていた炭素を新たに大気中へ放出するため、二酸化炭素濃度を増加させ、地球温暖化の主な原因となります。森林資源を持続的に利用することは、こうした化石燃料依存からの転換にもつながります。

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森林の多面的機能(公益的機能)と今後の課題

森林の役割は二酸化炭素吸収だけにとどまりません。水資源の涵養、生物多様性の保全、土砂災害防止、さらには人々の健康や文化の基盤としても欠かせない存在です。これらを総称して森林の多面的機能(公益的機能)と呼びます。

しかし、日本の森林の多くは戦後に植えられた人工林で、間伐不足や高齢化によって健全さが損なわれつつあります。持続可能な森林経営と適切な利用を進めることが、今後の地球環境保全にとって大きな課題です。

森の地球環境保全機能ってなに?

森には「地球環境保全機能(ちきゅうかんきょうほぜんきのう)」という大切な役わりがあります。ちょっとむずかしい言葉ですが、かんたんに言うと「地球の環境を守る力」のことです。
たとえば森は空気をきれいにしたり、水をためたり、生きもののすみかになったりして、わたしたちのくらしをささえています。

二酸化炭素をすいこんでくれる森

地球温暖化(おんだんか)のもとになる「二酸化炭素(CO2)」という気体があります。人が車や工場で出してしまうこのCO2を、森の木は光合成(こうごうせい)というはたらきで取り入れてくれるのです。
日本の森が1年間にすいこむCO2の量は、なんと約1億トン!これは日本中の車の排気ガスの7割くらいにあたるんだよ。森ってすごいパワーを持っているんだね。

木になっても役立つ!

木は切られて建物や家具になっても、吸いこんだ二酸化炭素を中にためこんだままです。だから木を使うことも温暖化防止につながるんだよ。
ただし、木を燃やすと二酸化炭素は空気にもどってしまうけど、それはもともと空気にあったものだから、ふえていくわけではありません。これを「カーボンニュートラル」といいます。

森のちからはまだまだある!

森にはほかにも、水をためて川をゆたかにする力、土砂くずれをふせぐ力、いろんな生きものをまもる力など、たくさんのはたらきがあります。
森はまさに地球のヒーロー!わたしたちが森を大切にすることは、未来の地球を守ることにつながるんだよ。

森林・林業学習館 for きっず

〔参考文献・出典〕
林野庁HP「地球温暖化防止に向けて」/国立環境研究所「2023年度の我が国の温室効果ガス排出量及び吸収量について」


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