森林生態系の概要

 
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森林生態系の概要

森林生態系とは

森林と言えば、緑豊かな「樹木」をイメージされる方が多いと思います。しかし、当然ながら森林に生きる生物は木だけではありません。鳥や動物、草花や昆虫、コケやキノコ、微生物・・・などなど、多くの生物が共存しています。そして、その生物たちは互いに密接に関わり合い、森林生態系をつくっています。さらに、森林が森林として成り立つためには、空気や水、光などの適切な環境が必要です。

森林生態系の模式図 Fujimori,2001より

森林生態系の模式図(Fujimori,2001)

「森林生態系」とは、森林を森林として成り立たせているしくみのことです。そして森林を成り立たせている森林生態系のメンバーが、上記のような生物や環境です。

そのメンバーお互いに密接つながっています。生物と環境(空気や水、光など)は、呼吸や光合成などでつながっていますし、生物どうしは食物連鎖でつながっています。これらのつながりがなければ、生物は生きていけませんし、森林が森林として成り立つこともできません。

※「森林生態系」を英語では「Forest Ecosystem」と言います。「森林の環境と生物の組織網」というようなイメージの日本語に訳せると思います。


森林生態系は永続性のあるしくみ

木々や草花などの植物(※1)は、光合成をおこなって成長し、枝や葉を広げ、花を咲かせ、果実を実らせます。これらは、鳥や動物、虫たち(※2)の食糧となります。そしてそれらは、より大きく強い鳥や動物たち(※3)に食べられ、その動物たちもやがて死んでいきます。

それらの死骸や落葉、落枝、枯死木・倒木は微生物(※4)によって分解され、土に還り、無機物(植物などの栄養分)となり、また光合成からはじまって循環していきます。

森林を構成するメンバーはそれぞれの役割を果たし、生物は互いに食物連鎖の関係でつながっています。

森林では、このようなしくみが成り立っており、はるか昔より、途絶えることなく繰り返されています。これが森林生態系です。

※1 木々や草花などの植物を生態系の中で「生産者」と呼びます。

※2 鳥や動物、虫たちを生態系の中で「(一次)消費者」と呼びます。

※3 より大きく強い鳥や動物たちを生態系の中で「(二次)消費者」と呼びます。

※4 微生物を生態系の中で「分解者」と呼びます。


森林生態系の原動力は光合成

ところで、樹木や草花は太陽のエネルギーを利用して、無機物(水と二酸化炭素)から有機物(糖)をつくりだし、さらには根から地中の無機物(窒素などの養分元素)を取り入れ、複雑な蛋白質や脂質などの有機物を合成します。

太陽エネルギーを直接利用できるのは、この植物と人間が発明した太陽光発電くらいですが、生物界では植物以外にありません。しかも、植物以外の動物は無機物から有機物をつくりだすことはできません。ゆえに、草食動物は植物を食べることによって、肉食動物は草食動物を食べることにより、自らの体を形成し、生活できるわけです。草食動物は間接的に太陽エネルギーを利用して生きているのです。そして排泄物や死骸は、土の中の小動物や微生物により有機物が無機物に還元され、再び光合成により無機物から有機物がつくられます。

このように、生態系では、植物、動物、微生物のはたらきにより物質とエネルギーが循環しています。生態系は扱う対象や範囲によって森林生態系、河川生態系、海洋生態系、砂漠生態系などに区分されます。


森林の自家浄化(クリーン)システム

森林の地面(林床)には、落葉・落枝、倒木、動物の排泄物、死骸などさまざまなものが供給されます。これらがそのままたまっていったら、森は足の踏み場もなくなり、とても見苦しいものになってしまうことでしょう。ところがそうはなりません。なぜでしょうか?

森林が美しい状態を保っている理由は、森林には自家浄化システムがあるからです。

森林の土壌には小さな動物が棲んでおり、落葉・落枝、倒木、動物の排泄物、死骸などを食べ、細かくしてくれます。さらに微生物(菌類・細菌類など)が腐らせて土にかえしてくれます。難しく言うと「有機物を分解して無機物に戻す」ということです。ここでは「有機物=生物体を構成するもの」、「無機物=有機物をつくる原材料のようなもの」ととりあえず考えていただければ、わかりやすいと思います。

冷蔵庫の中の物が腐るのは困りますが、自然界では腐るということが自家浄化システムの大切なはたらきなのです。

土壌に生息する分解者たち

土壌に生息する分解者たち


人間のリサイクル社会は・・・

人間社会では、たくさんのゴミが出て、社会問題になっていますが、自然界では要らないものは腐らせて、次の生産に全く無駄のない形で再利用(リサイクル)しています。これはとても素晴らしいしくみだと思います。人間の社会でもリサイクルが普及してきていますが、自然界ほど完全なものではありません。自然界から学ぶべきことがまだまだたくさんありそうです。


〔参考文献・出典〕
社団法人全国森林レクリエーション協会「森林インストラクター養成講習テキスト<森林編>」の森林生態系の模式図(Fujimori,2001)/啓林館 高等学校教科書「理科総合B」