木の癒し効果とは?心と体をリラックスさせる理由
木の癒し(リラックス)効果
木材は、昔から住宅や家具などに使われてきました。木の香りや手ざわりが心地よく、人の気持ちを落ち着かせることは、経験的にもよく知られています。また、森の中で過ごす「森林浴」にも、リラックス効果があることが広く知られています。
では、なぜ木は人にとって心地よいのでしょうか。
その理由は、人の体が「自然に適応したつくり」になっているからです。
人類は約700万年前に誕生し、そのほとんどの時間を自然の中で生活してきました。産業革命以降の人工的な環境での生活は、長い歴史の中ではほんのわずかです。そのため、私たちの脳や肺、皮膚などの体のしくみは、今でも自然環境に合うようにできています。ここ数百年で遺伝子が大きく変わることはありません。
このような背景から、自然素材である木に触れると、人は自然とリラックスします。これは意識的なものではなく、体が本能的に落ち着いた状態になるためです。ストレスの多い現代社会においては、木材の価値を改めて見直すことが重要だといえるでしょう。
近年では、こうしたリラックス効果を科学的に測定する研究も進んでいます。脳の働きは、従来の脳波測定に加え、光を使った「近赤外分光法」によって細かく測れるようになりました。また、自律神経の働きも、心拍の変化からリラックス状態(副交感神経)と緊張状態(交感神経)を正確に把握できるようになっています。さらに、ストレスの指標であるホルモン「コルチゾール」も、血液ではなく唾液で簡単に測定できるようになりました。
千葉大学の宮崎良文氏は、木の香りや見た目、触れたときの体の変化について、長年にわたり研究を続けてきました。その結果、木に触れると脳の活動が落ち着き、リラックス時に働く副交感神経が活発になり、ストレス時に働く交感神経は抑えられることが明らかになっています。
つまり、木は人の脳や体を自然にリラックスさせる力を持っているのです。
木の香りによる癒やし効果(心拍と血圧)
木の香りには、心や体を落ち着かせる働きがあります。この効果は、木が発する香り成分「フィトンチッド」によるものと考えられています。
実験では、木の香りを感じることで血圧が下がり、脈拍も安定することが確認されています。また、ストレスを感じたときに分泌されるホルモン「コルチゾール」の量も減少し、心身の緊張がやわらぐことがわかっています。



木の香りによる癒やし効果(脳の活動と副交感神経)
木の香りをかぐとリラックスできることは、脳の働きにもはっきりと表れます。
20代の女子大学生を対象にした実験では、ヒノキの葉から抽出した香りを90秒間かいでもらったところ、脳の活動を示す数値(ヘモグロビン濃度)が低下し、脳の前頭前野の働きが落ち着くことが確認されました。
また、天然乾燥したヒノキ材の香りでも同様の結果が得られており、木の香りが脳をリラックス状態に導くことがわかっています。

※酸素化ヘモグロビンは脳の活動が高まると増え、リラックスすると減少します。

※リラックス時には副交感神経が活発になり、その状態はHF(高周波成分)で測定できます。

木に触れることによる癒やしの効果
木は、触れるだけでもリラックス効果があることがわかっています。
20代の女子大学生を対象に、目を閉じた状態で木材や大理石などを90秒間触ってもらう実験を行ったところ、木材に触れたときのほうが、体がよりリラックスした状態になることが確認されました。


さらに、無塗装のヒノキ材を足の裏で触れた場合も、大理石と比べてリラックス効果が高いことが確認されています。脳の活動が落ち着き、副交感神経が活発になる一方で、ストレス時に働く交感神経は抑えられることがわかりました。

どうして木にふれると気持ちがいいの?🌳✨
森の中に行ったとき、「なんだか気持ちいいな😊」と感じたことはありませんか?それは、木が出しているよい香り🌿や、やさしい手ざわりのおかげです。
木は「フィトンチッド」という香りのもとを出しています。この香りをかぐと、ドキドキしていた心💓が落ち着いたり、体の力がふっとぬけたりします。
また、木にさわるとあたたかくてやわらかい感じ👐がして、安心した気持ちになります。これは、人間の体がもともと自然の中でくらしてきたため、木や森ととても相性がいいからです。
たとえば、木の机やイス、床の上にいると、なんとなくリラックスできます🍀
おうちや学校の中でも、木を見たり👀、さわったり🖐、香りを感じたりしてみましょう。きっと、気持ちがすーっと楽になりますよ😌✨
〔参考文献・出典〕
千葉大学・環境健康フィールド科学センター宮崎良文氏「木のある生活・リラックス効果」財団法人 日本木材総合情報センター・全国木材協同組合連合会「人と環境にやさしい木のはなし」をもとに作成/実験データは森林総合研究所生物活性物質研究室 宮崎良文,1996より/Forestry & Forest Products Research Institute No.42 2018
