林業、植林、下刈り、下草刈り、除伐、枝打ち、間伐、伐採・運搬

木材になるための育成林(人工林)の木は、もともと使うために育てられているんだ。世界遺産となっている森林や身近な公園などの「保護すべき木」、「伐ってはいけない木」とはまったく別のものなんだよ。

育成林の木は、植えて、育てた後、収穫(伐採)しなければ、次の世代の木を育てることができないよね。

例えば春に田植えをしたら秋に収穫をするのと同じことなんだよ。収穫しなければ作物は野放しになり、畑は荒れ、次の田植えができない。木材になるために育てられている木々も、40~50年という年月をかけて、成熟したら、そこで収穫して、次の世代の木々を育てる場所をつくる必要があるんだよ。

日本には、約1000万ヘクタールの育成林があるんだ。そして、育成林で育った木々を有効に利用するには、多くの人たちに木材を使ってもらう必要がある。そのためには、日本国内だけでなく、海外への輸出も視野に入れることも大切なんだ。そして木材産業をより活発にするための研究や調査、普及活動も必要なんだよ。

林業という仕事

畑作農業では、春に畑に種を蒔いたり苗を植えたりします。その後も肥料を与えたり、雑草を除いたり、世話をしながら育て、夏~秋に収穫します。

林業も同じように、苗木を植栽して、世話をしながら、育てて、収穫します。畑作農業は畑(耕作地)で行い、数ヶ月で収穫できますが、林業は山(=木の畑)で行い、収穫(主伐)までに50年~60年程度の年月が必要です。


苗木づくり

スギの苗木(苗畑)

日本では、山に種をまいて、木を育てるのではなく、「苗場(苗畑)」で1~3年間程度、苗木として育ててから、山に植栽(植え付け)して育てます。日本での主な樹種は、スギやヒノキ、カラマツです。


地拵え(じごしらえ)

地拵え(じごしらえ)の写真

地拵え(じごしらえ)

苗木を山に植栽(植え付け)する前には、苗木の生育環境をよくするため、雑草や灌木などを取り除く「地拵え(じごしらえ)」という整地作業をします。

地拵え(じごしらえ)は林業の中でも大変な作業ですが、木を育てる過程の中で、最初に行う重要な仕事です。苗木を植える場所を作る作業でもあることから「地あけ」とよぶこともあります。


植栽(植林)

植林(植栽)の写真

植林(植栽)

植栽の時期はあまり暑くない春や秋が多く、苗木は山の斜面に手作業で1本ずつ植えていきます。苗木はある程度密集させた方が、生存競争が起こるため、早くまっすぐに上に向かって伸びます。スギの場合は1ha(100m×100m)あたり3000本程度を植えます。


下刈り(下草刈り)

下草刈り(下刈り)の写真

下草刈り(下刈り)

畑で作物の生育を妨げる雑草を取り除くように、林業でも植えられた苗木の成長を妨げる植物を除去します。これを「下刈り(下草刈り)」といいます。苗木が他の草木よりも背が高く成長するまで(植栽してから5~10年までの間)は、毎年、夏の時期に行います。特に、スギやヒノキの苗木と他の草木は、光と水の激しい奪い合いをします。そのため、人が積極的に介入して、下刈りを行わないと、せっかく植えた苗木も雑草の陰となったり、地中の水を奪われたりして、枯れてしまうこともあります。

雑草やササが茂りやすいところでは年に2回ほど行うことがあります。下刈りと同時に、苗木の成長を助けるため、肥料などを与えることもあります。

下刈りは、雑草などが生い茂った夏場に行う作業のため、大変な仕事です。

※下刈りは、苗木以外の草木をすべて刈り払う「全刈り」のが一般的です。ただし、土地によっては、風害や塩害を防ぐために、一部分の草木を刈り取ったり残したりする場合があります(筋刈り、坪刈り)。


つる刈り(つる切り)・除伐

つる刈り(つる切り)の写真

つる刈り(つる切り)

苗木が雑草よりも大きく成長し、下草刈りの必要がなくなっても、クズ、フジ、ツタなどのツルが幹に巻きついたり、植栽木(=苗木が苗木とは呼べない程度まで育った木)に覆いかぶさったりするため、これを取り除かなければなりません。この作業を「つる刈り」といいます。

スギの場合、植栽後10年ほどすると背丈が5m前後に成長します。この頃には、植栽木の成長を邪魔するような灌木などを伐る作業を行います。この作業を「除伐」といいます。「除伐」では雪などで曲がってしまった植栽木や、途中から折れてしまっている植栽木、成長が悪く大きく育つ見込みのない植栽木を伐る作業も行います。通常はチェーンソー(エンジンつきノコギリ)を使って行ないます。

なお、最近では、森林の持つ多面的機能(公益的機能)をより発揮させるため、「除伐」を適度に行い周囲の樹木も残して、針葉樹と広葉樹が共存する針・広混交林へ誘導していくことも推奨されています。


枝打ち

枝打ちの写真

枝打ち

植栽してから10~15年経つと苗木は、4~8m程度まで成長して、枝もついてきます。この枝はまわり木と重なりあい、放っておくと林の中が暗くなってしまったり、枯れた枝などから害虫が侵入しやすくなります。そこで枝を付け根から切る「枝打ち」という作業を行います。枝打ちをする時期は、樹木の成長が止まる秋~冬にかけて行われます。枝打ちした箇所(=幹から枝が生えていた部分)は、樹木が成長するにつれて覆われていき、やがて枝の跡がわからなくなります。枝打ちをすることにより、将来、節の少ない優良な木材となります。


間伐

間伐の写真

間伐

植栽、下刈り、枝打ち、除伐と保育作業を行って来た植栽木は、競争しながら、まっすぐに育っていきます。順調に成長し、20~30年くらいたつと、林の中は混み合ってきます。 混み合ったまま放置しておくと木々は、ひょろひょろともやし状となり、病害虫にも弱い木となってしまいます。そこで、「間伐」と呼ばれる間引き作業を行い、林内環境を良くして、樹木が健康に育つようにします。植えた木の本数を減らす代わりに、残された木が健全に育つように手を入れるわけです。

間伐もチェーンソーを使って行ないます。間伐をすることにより、地面に日光が差し込み、さまざまな草や木が新たに生え、それを食料とする昆虫や鳥が生息するようになるなど、生物の多様性が向上します。また、地中の根もしっかりと張り巡らされ、台風や大雪、土砂災害などに強い森林となります。
かつては間伐された木は杭や蒔や炭、割り箸などの原材料として利用されていました。しかし、現在では搬出コスト等の関係で採算が合わず、有効的な利用がなされず、山に放置される間伐木も多くなりました(伐り捨て間伐)。
なお、間伐を一度に大量に行うと、風通しがよくなり過ぎて、台風などの強風に弱い森林になってしまいます。そのため、1回に間伐する量は30%程度にとどめ、これを数年おきに繰り返すことが理想ですが、林業不況のなかで、適切な実行は難しくなっています。

なお、植栽してから、間伐までの期間を「保育(期間)」とよぶことがあります。


主伐

主伐の写真

主伐

スギの場合、植栽後50年前後で柱や板の材料となれるだけの太さまで育ち、収穫の時期を迎えます。地域によってはより太く高品質の木材に仕立て上げるため、100年前後まで待つ場合もあります。何度か間伐を繰り返し、最終的に行われる伐採を「主伐」といいます。主伐の後には、次の植栽の準備を行います。

一定区間にある木をすべて伐採する皆伐の他、部分的に伐採して跡地に苗木を植え、樹木の世代交代をはかりながら収穫していく方法があります。昔はのこぎりや斧を使っていましたが、今はチェーンソーを使ったり、高性能林業機械で行なうこともあります。


玉切り

玉切りの写真

玉切り

伐採された木は、利用しやすい長さに切られ、丸太になります。これを玉切りといいます。


搬出・運搬

木材搬出の写真

木材の搬出

伐採(収穫)した丸太は、ケーブルなどで吊して山から林道まで運び出されたり、ウインチで引っ張ったりして搬出されます。最近では高性能林業機械を使うケースも多くなりました。

そして、積み下ろし機などで集めてトラックに積み込まれ、原木市場や貯木場へ運ばれます。

貯木場の写真

貯木場

原木市場や貯木場へ運ばれた木材は、競りで製材業者に買われます。また、直接、製材工場に運搬される場合もあります。


〔参考文献・出典〕
全国森林組合連合会・社団法人全国改良普及協会「緑豊かなみらいのために 森林整備を進めよう」/熊本県林政課「熊本の森林林業・森林を活かす」/全国森林組合連合会「MidoriPress」/旭川流域林業活化センター「山は伐ってもいいですか?」/社団法人国土緑化推進機構「森林のはなし」/林道研究会 林野庁整備課「新しい山村を創る 林道」/全国林業改良普及協会「林業新知識/わかりやすい造林・育林講座」/IPA教育用画像素材/私の森.jp写真部