|
農業では、春に畑に種を蒔き、苗を植え、肥料を与えたり、雑草を除いたり、世話をしながら育て、夏〜秋に収穫します。林業も同じように、苗木を植栽して、世話をしながら、育てて、収穫します。農業は畑で行い、数ヶ月で収穫できますが、林業は山(=木の畑)で行い、収穫(主伐)までに50年〜60年程度の年月が必要です。
苗木づくり
樹木を山で育てる前に、「苗畑」に種をまいて苗木を作ります。日本ではスギやヒノキが多く、1〜3年間程度で苗木として山に植栽(植え付け)されます。
地拵え(じごしらえ)
苗木を山に植栽(植え付け)する前には、苗木の生育環境をよくするため、雑草などを取り除く「地拵え(じごしらえ)」という作業をします。
植栽(植林)
植栽の時期はあまり暑くない春や秋が多く、苗木は山の斜面に手作業で1本ずつ植えていきます。苗木はある程度密集させた方が早くまっすぐに上に向かって伸びるため、スギの場合は1ha(100m×100m)あたり3000本程度を植えます。
下刈り(下草刈り)
畑で作物の生育を妨げる雑草を取り除くように、林業でも植えられた苗木の生長を妨げる植物を除去します。これを「下刈り(下草刈り)」といいます。苗木が周囲の雑草よりも低い間(植栽してから5〜10年までの間)は、ほぼ毎年行います。これをしないと、せっかく植えた苗木も雑草の陰となり、光が当たらず枯れてしまいます。
雑草やササが茂りやすいところでは年に2回ほど行うことがあります。
下刈りと同時に、苗木の生長を助けるため、肥料などを与えることもあります。
下刈りは、雑草などが生い茂った夏場に行う作業のため、大変な仕事です。
つる刈り(つる切り)・除伐
苗木が雑草よりも大きく生長し、下草刈りの必要がなくなっても、クズ、フジ、ツタなどのツルが幹に巻きついたり、木の全体におおいかぶさったりするため、これを切らなくてはなりません。この作業を「つる刈り」といいます。
スギの場合、植栽後10年ほどすると背丈が5m前後に生長します。この頃には、植栽木(=苗木が苗木とは呼べない程度まで育った木)の生長を邪魔するような灌木なども生えてきます。そのため植栽木の生長を妨げる他の樹木を伐る作業を行います。この作業が「除伐」です。「除伐」では雪などで曲がってしまったり、途中から折れてしまっている植栽木や、生長が悪く大きく育つ見込みのない植栽木を伐る作業も行います。通常はチェーンソー(エンジンつきノコギリ)を使って行ないます。
なお、最近では、森林の持つ多面的機能(公益的機能)をより多く発揮させるため、「除伐」を適度に行い周囲の樹木も残して、針葉樹と広葉樹の混ざった針・広混交林へ誘導していくことも推奨されています。
枝打ち

植栽してから10〜15年経つと苗木は、4〜8m程度まで生長して、枝もついてきます。この枝はまわり木と重なりあい、放っておくと林の中を暗くさせたり、枯れた枝などから害虫が侵入してきやすくなります。そこで枝を付け根から切る「枝打ち」という作業を行います。枝打ちをする時期は、樹木の生長が止まる秋〜冬にかけて行われます。
枝打ちした箇所(=幹から枝が生えていた部分)は、樹木が生長するにつれて覆われていき、やがて枝の跡がわからなくなります。枝打ちをすることにより、将来、節の少ない優良な木材となります。
間伐
植栽、下刈り、枝打ち、除伐と保育作業を行って来た樹木は、競争しながら、まっすぐに育っていきます。順調に生長し、20〜30年くらいたつと、林の中は混み合ってきます。 混み合ったまま放置しておくと樹木はひょろひょろともやし状となり、病害虫にも弱い木となってしまいます。そこで、「間伐」と呼ばれる間引き作業を行い、林内環境を良くして、樹木が健康に育つようにします。植えた木の本数を減らす代わりに、残された木が健全に育つように手を入れるわけです。
間伐もチェーンソーを使って行ないます。
間伐をすることにより、地面に日光が差し込み、さまざまな草や木が新たに生え、それを食料とする昆虫や鳥が生息するようになるなど、生物の多様性が向上します。また、地中の根もしっかりと張り巡らされ、台風や大雪、土砂災害などに強い森林となります。
かつては間伐された木は杭や蒔や炭、割り箸などの原材料として利用されていました。しかし、現在では搬出コスト等の関係で採算が合わず、有効的な利用がなされず、山に放置される間伐木も多くなりました(伐り捨て間伐)。
なお、間伐を一度に大量に行うと、風通しがよくなり過ぎて、台風などの強風に弱い森林になってしまいます。そのため、1回に間伐する量は30%程度にとどめ、これを数年おきに繰り返すことが理想ですが、林業不況のなかで、適切な実行は難しくなっています。
主伐
 スギの場合、植栽後50年前後で柱や板の材料となれるだけの太さまで育ち収穫の時期を迎えます。地域によってはより太く高品質の木材に仕立て上げるため、100年前後まで待つ場合もあります。何度か間伐を繰り返し、最終的に行われる伐採を「主伐」といいます。主伐の後には、次の植栽を行います。
一定区間にある木をすべて伐採する皆伐の他、部分的に伐採して跡地に苗木を植え、樹木の世代交代をはかりながら収穫していく方法があります。昔はのこぎりや斧を使っていましたが、今はチェーンソーを使ったり、高性能林業機械で行なうこともあります。
搬出・運搬
伐採(収穫)した丸太は、ケーブルなどで吊して山から林道まで運び出されたり、ウインチで引っ張ったりして搬出されます。最近では高性能林業機械を使うケースも多くなりました。
搬出された丸太は、利用しやすい長さに切られます(玉切り)。そして、積み下ろし機などで集めてトラックに積み込まれ、原木市場や貯木場へ運ばれて、競りで製材業者に買われます。また、直接、製材工場に運搬される場合もあります。
〔参考文献・出典〕
全国森林組合連合会・社団法人全国改良普及協会「緑豊かなみらいのために 森林整備を進めよう」/熊本県林政課「熊本の森林林業・森林を活かす」/全国森林組合連合会「MidoriPress」/旭川流域林業活化センター「山は伐ってもいいですか?」/社団法人国土緑化推進機構「森林のはなし」/IPA「教育用画像素材集サイト」 http://www2.edu.ipa.go.jp/gz/ |