大気中の温室効果ガス削減対策

地球温暖化(気候変動)を防止し、理想的な地球環境を実現するためには、化石燃料への依存を減らし、持続可能エネルギーへの転換を図ることで温室効果ガスの排出を抑制するとともに、すでに過剰に排出されている大気中の温室効果ガスを減らす取り組みが必要です。そのために現在2つの具体的な方策があります。ひとつは、二酸化炭素(CO2)を回収して地下に貯留するCCSと呼ばれる技術的な対策で、もうひとつが、森林の樹木や木材(バイオマス)を利用した二酸化炭素の吸収と炭素の貯蔵です。

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温室効果ガスを地中に封じ込める

温室効果ガスであるCO2を回収して、地中に封じ込める技術が期待されている(日本CCS調査株式会社)

温暖化を防止するさらなる対策として注目されているのは、二酸化炭素を回収して、地中に封じ込める技術(CCS=Carbon capture and storage)です。工場や発電所などから出る排出物から二酸化炭素を分離して回収。それをパイプラインを利用して、地下深く、二酸化炭素を通さない地層の下に封じ込めるというものです。日本でも、北海道苫小牧市で実証実験施設の建設が進んでおり、コスト面や技術面の課題を克服しながら、2020年の実用化を目指しています。

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バイオマス(森林・木材)に封じ込める

地下に封じ込めるのではなく、バイオマスに閉じ込める方法も効果的です。つまり、森林の樹木の光合成を発揮させ、二酸化炭素を樹体の中に閉じ込めてしまうのです。コスト面や技術面の課題は少なく、自然の力を活用しているため、安全性は極めて高いといえるでしょう。先の京都議定書の第一約束期間では、日本は目標8.4%の排出削減となり、目標を達成することができました。このうち、4割以上に相当する3.8%分は森林吸収源対策で実現しています。樹木や木材には、大気中の温室効果ガスを効果的に封じ込める機能が備わっているのです。

この森林の機能が発揮できたのは、主に間伐などの森林整備が進んだからです。さらに森林整備を進めるためには、間伐材を積極的に利用し、森林整備の資金を山に還元することです。また、樹木が吸収した温室効果ガス(CO2)は木材になっても、そのまま封じ込まれています。さらに、木材は、製造時に放出される二酸化炭素量が他の製品と比べて極めて少量です。今の社会では、木材を積極的に利用し、身の回りに木材製品を増やすことは「低炭素社会の実現」すなわち「地球温暖化防止」へ貢献できるのです。


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