森林の持つ公益的機能
森林はさまざまな機能(=多面的機能)を持ち、私たちは、森林からさまざま恩恵を受けています
日本は国土の約7割が森林に覆われた世界有数の森林国で、日本人は古くから森のめぐみを受けて生活してきました。
例えば、私たちにとって、森林は資源としての木材の生産やきのこなどの林産物を生産する場となっています。また、土砂災害等を防止する国士保全機能、渇水や洪水を緩和しながら、良質な水を育む水源涵養(かんよう)機能、生物多様性の保全など私たちが安全で快適な生活をおくるために欠かせない多くの環境保全機能を果たしています。
そして、地球温暖化防止が課題となっている現在では、森林が二酸化炭素を吸収・固定・貯蔵することによる地球温暖化防止機能が大きな役割を担っています。
森林はさまざまな機能を持っているため、これを森林の持つ「多面的機能」と呼んでいます。そして、私たちは森林の持つ「多面的機能」により、さまざまな恩恵を受けています。そのため「公益的機能」とも呼んでいます。
◆水源涵養(かん養)機能/緑のダム
森林に降った雨や雪などの降水は、すぐに森林から流れ出ることはなく、土壌に浸透し、ゆっくりと流れ出ます。このため、洪水や渇水が緩和されたり、澄んだ美しい水を私たちに供給してくれます。この働きのことを「水源かん養機能」と呼びます。
おいしい水は森林でつくられ、森林からやってきます(水源かん養)
森林の表土には、落葉・落枝などの多くの堆積物があり、そこに多くの土壌生物が生息し、堆積物を分解しています。
土壌生物の働きにより、森林の土壌は、孔隙と呼ばれる大小無数の孔を持つスポンジのようになっています。そのため雨水をすみやかに地中に浸透させる働きがあります。この機能により雨水はゆっくりと河川に流されることから、洪水や渇水が緩和されます。そのため森林は「緑のダム」と呼ばれることがあります。
また、雨水が地中に浸透する過程で水を濾過(ろか)したり、化学物質を吸い取って水を浄化しています。さらに、岩石の間を通ることによりミネラル分を含むようになり、いわゆる「おいしい水」を私たちに供給してくれます。
◆土砂災害防止機能
森林の土壌は、樹木の根でしっかり固定されており、山崩れ、がけ崩れなどの土砂災害を防止しています
森林は、表土が落葉・落枝などの多くの堆積物で覆われており、草や低木などが生えているため、降雨などによる土壌の浸食や流出が抑えられています。
森林と裸地を比較した場合、土砂が流出する量は森林では裸地の1/150という報告があります。
◆生物多様性の保全機能
森林には、鳥類、昆虫類をはじめとする多くの野生動植物が生息・生育しています
森林には、草原などと比べて、はるかに多く種類の動物が生息しています。それは、天敵から身を守るための隠れ家となり、木々により日陰ができるなど、生きやすい環境となっているからです。
森林は遺伝子や生物種、生態系を保全するという機能を持っており、これを「生物多様性の保全機能」と呼んでいます。
◆地球環境保全機能/地球温暖化防止機能
森林の木々は大気中の二酸化炭素(CO2)を吸収し、地球温暖化を防止するはたらきがあります
地球温暖化をもたらす過剰な二酸化炭素を森林は光合成により吸収し、貯蔵します。日本の森林が光合成によって吸収する二酸化炭素は年間約1億トンで、これは日本における二酸化炭素排出量の約8%、国内の全自家用乗用車の排出する量の約7割に相当します。
ここで紹介した機能は森林の持つごく一部の機能です。
この他にも森林はさまざまな機能を持つため、「多面的機能」と呼ばれます。
