檜・桧(ヒノキ・ひのき)

ヒノキ科ヒノキ属

福島県東南部以南の本州、四国、九州に分布

日本書紀には「スギとクスノキは舟に、ヒノキは宮殿に、マキは棺に使いなさい」と書かれています。ヒノキは古くから社寺の建築用材として最適で最高の材となることが知られていたようです。「ひのき」という名の由来は「火の木」の意味で、古代に火おこしに使われたという説と、尊く最高のものを表す「日」をとって、「日の木」という説もあります。

推定樹齢1000年の
大ヒノキ

うろこ状の葉(鱗状葉)が枝いっぱいにつく

球果は球形で1cmほど。10月~11月に熟す

ヒノキの樹皮はやや赤っぽくスギによく似ている

葉裏のY字形の白い線(気孔線)がヒノキの特徴

↑サワラの葉はヒノキと似ているがサワラは気孔線がX字形

ヒノキ材は仕上がると、美しい光沢があり、特有の芳香がある

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ヒノキの名の由来

ヒノキの名の由来は、諸説あります。まず、錐揉み式(きりもみ式)の火おこしに用いるように、すぐ火がつきやすい「火の木」とする説。また、神宮の建築用材に使われたことから、「霊(ひ)の木」、もしくは、神宮は天照大神(太陽神)の建物とすることから、太陽すなわち尊く最高のものを表す「日」から「日の木」とする説があります。

ヒノキのルーツを求めていくと、日本書紀に辿り着きます。スサノオノミコトが胸毛を抜いて空中に放つと「ヒノキ」となり、その用途として「瑞宮(宮殿)」をつくるように記されています。日本神話には、大日孁貴神(おおひるめのむちのかみ)や高御産巣日神(たかみむすひのかみ)、天穂日神(あめのほひのかみ)など「日(ヒ)」が含まれている神の名が多く、「日の木」は強い霊力が宿る神の木と考えられていたのかも知れません。ヒノキが古くから社寺建築に重宝されるなど、高級な建築材として扱われてきた理由が窺えます。

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日本国内のヒノキの分布

ヒノキの天然分布はスギよりも狭く、北は福島県東南部(いわき市平赤井)以南の本州から南は四国、九州(鹿児島県屋久島)まで分布しています。天然産としては、木曽、高野山、高知県西部などが有名です。また、人工林(育成林)としては、尾鷲、吉野、天竜、和歌山などが産地として知られています。それぞれの産地の名から「尾鷲檜」、「紀州檜」などと呼ばれています。なお、ヒノキの人工林は関東以南で多く見られ、総人工林面積約1000万haに占める割合はスギ(約45%)に次いで高く、約25%を占めています。

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ヒノキは建築材として世界最高レベル

法隆寺を支える材はヒノキ

1300年以上の歴史を持つ法隆寺を支える材はヒノキ

ヒノキは、林業ではスギに次いで多く植林されている樹種です。材は緻密でほとんど狂いがなく、加工が容易で、日本人好みの芳香を長期にわたって発するため、最高品質の建築用材とされ、神社や仏閣を建築するために使われてきました。

ヒノキは伐採してから200年間は強くなり、その後1000年かけて徐々に弱くなるといわれています。実際にヒノキで建てられた法隆寺や薬師寺の塔は1300年経った今も維持されています。

このことから、現在、法隆寺で使われている木(1300年前のヒノキ)は、伐採時とほぼ同じ強度といえます。

全国各地の寺院の修理・改築を行っている小川三夫氏は「1300年経ってもヒノキを削ればよい香りがするし、使うこともできる。」と言います。

ヒノキは木材として耐久性や保存性が世界最高レベルなのです。

ヒノキの耐久性のグラフ

ヒノキは伐られてから強度が2~3割程度増す。伐られたときから建築用材として何百年もの第2の生が始まる。

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ヒノキの芳香・アロマ効果

ヒノキ材は仕上がると、美しい光沢とともに、やさしい雰囲気を持っています。また、特有の芳香があり、ヒノキ風呂、ヒノキ酒器など、ヒノキの香りは多くの人々に好まれています。香りの成分はアルファピネン、ボルネオールという物質です。この他にもヒノキには気分を落ち着かせる効果があったり、抗菌効果などをもつ有用な物質が多く含まれていることがわかっています。そのため、建築物の内装やまな板などキッチン用品などに用いられることが多いようです。

なお、ヒノキチオールはヒノキ科の樹木から抽出される物質で、特に青森ヒバに多量に含まれています。


〔参考文献・出典〕
学習研究社「日本の樹木」/新建新聞社「木の文化」/(一社)全国林業改良普及協会「林業新知識(2019.2)」/(一財)日本木材総合情報センター「木ねっと」