樅(もみ、モミ)

●マツ科モミ属
●本州〜九州、屋久島に分布。身近な低山から深山の尾根部に生える。
モミの名の由来は、風にもみ合うところから「揉む」を語源とする説、萌黄が美しいからとする説、神聖な木で、信仰の対象となっていことから「臣木(おみのき)」とする説などいくつかの説があります。
伊賀野のモミ
(推定樹齢400年)



モミの樹形は美しい円錐形。
高さは20〜30mになる
5月頃になると枝先にかわいい
花をつける
葉は2本に分かれてとがる。成木の葉はくぼむ。長さ2〜3cm


モミ実は熟すと翼のある種子が
風に乗って飛んでゆく
樹皮は鱗片状に剥がれ落ちる。
若い木ほど平滑
モミ材は、蒲鉾板など食べ物が 直接触れる材として最適
◆クリスマスツリーでお馴染みの「もみの木」

美しい円錐形の樹形のウラジロモミはクリスマスツリーに使われる
「モミの木」と言えば、クリスマスツリーをイメージする方も多いと思います。
ドイツ民謡の「モミの木」で歌われているモミの木は「ヨーロッパモミ(別名:シロモミ)」です。また、最近ではクリスマスツリーとして「ドイツトウヒ(別名:アカモミ)」も使われています。これらは、本場ヨーロッパのクリスマスツリーに使われているモミの木です。
ちなみに、アニメ「アルプスの少女ハイジ」に登場するアルム山小屋の裏の大きな「もみの木」は「ドイツトウヒ(アカモミ)」がモデルになっているとのことです。
日本でクリスマスツリーに使われているモミの木は「ウラジロモミ」と呼ばれる種類で、「モミ」とは違います。「モミ」との見分け方は、葉の裏を見るとわかります。2本の白いスジ(気孔帯)が目立つのが「ウラジロモミ」、葉の裏が白いモミです。

ウラジロモミは、葉の裏が白色で綺麗なことに加え、葉の表は光沢がある鮮やかな緑色であること、美しい円錐型の樹形になることなどから、クリスマスツリーとして好まれて使われるようです。
◆大気汚染、シカ被害 もみの木の受難の時代
最近、モミの木の衰弱が目立つようになりました。モミの木は、デリケートで大気汚染や煙、暑さに弱い樹種です。また、山地では、シカにより樹皮をかじられて、赤く立ち枯れているモミの木も目立つようになりました。日本のモミの木にとって今は、受難の時代と言えるでしょう。
◆白く清浄な雰囲気を持つモミ材
生育環境が厳しくなったモミの木ですが、材としては古くから、塔婆や棺に使われてきました。建築用としては、床材としても使われています。
また、モミ材は調湿性に優れ、抗菌性があるにも関わらす、香りはほとんどしません。そのため、おひつや寿司桶、そうめん箱、かまぼこ板などに使われています。食材に匂いが付かず、余分な湿気を吸収し、抗菌性があるため、食べ物が直に触れる木材として適しています。
◆悪臭を消すモミ
最近の研究で、日本のモミの精油成分にはさまざまな効果があることがわかってきました。そのひとつが悪臭を消す作用。内装などにモミ材を使った部屋ではタバコの匂いが消え、壁にモミ材を使ったトイレではトイレ臭がなくなることが確かめられています。
モミ材の内装やモミ材で作った家には、ヒノキやスギ、ヒバのような特有の香りはありません。しかし、私たちの鼻には感じなくても、モミ材の持つ消臭作用や抗菌作用などの働きが発揮されているのです。
一般に普及されている消臭剤や芳香剤は、香りの成分が拡散し、悪臭の成分に覆いかぶさり、臭わなくしたり、感じなくするメカニズムになっています。一方、モミをはじめ、樹木や葉に含まれている精油成分は、悪臭と化学的に反応し、悪臭物質自体をなくしてしまうメカニズムになっているのです。中和、酸化などの化学反応がより深く関係しています。
◆ホルムアルデヒドを除くモミ
現代は化学合成物質が世の中に氾濫し、環境や人体に影響を与えることが指摘され、社会問題になっています。その物質のひとつに「ホルムアルデヒド」があります。接着剤や塗料、防腐剤などの成分で毒性の強い物です。
空気中に高い密度で拡散している場合、呼吸器系、目、のどなどの炎症を引き起こし、皮膚や目などが水溶液(ホルマリン)に接触した場合は、激しい刺激ともに炎症を生じます(現在は、政府によりホルムアルデヒドの使用濃度について、厳しい制限が設けられています。)
このホルムアルデヒドを除去する働きはスギやモミの木の葉の精油成分に多く含まれていることが、最近の研究でわかってきています。
〔参考文献・出典〕
茨城県教育委員会/小学館「葉で見分ける樹木」(林将之著)/学習研究社「日本の樹木」/日本文芸社「樹木図鑑」(鈴木庸夫著)/自然をつくる植物ガイド(林業土木コンサルタンツ)/日本木材総合情報センター「木net」
