キリ〔桐〕 きり

キリは切ってもすぐに芽を出し、どんどん成長するため「キル(切る、伐る)」が名前の由来となっています。

キリ〔桐〕~日本一軽い木

●ゴマノハグサ科キリ属

●北海道南部から南の各地に植栽。福島県(会津桐)、岩手県(南部桐)、新潟県、茨城県などが有名

キリ〔桐〕は切ってもすぐに芽を出し、どんどん成長するため「キル(切る、伐る)」が名前の由来となっています。また、木目が美しいので「木理(キリ)」が由来という説もあります。

桐は初夏に淡い紫色の花を
枝先に多数集めて咲かせる

初夏に咲く桐(キリ)の花の写真
 
キリ〔桐〕の花の写真 キリの葉の写真 桐の樹皮の写真

花は径5~6cmほどの細長い鐘形。花冠は5つにわかれる

葉はふつう15cm~30cmの幅広い卵形。1m近くになることも

樹皮は灰色、縦に裂けて、さざ波のような模様になる



桐と人間社会との歴史は非常に古い

桐の紋章 五七桐花紋

桐の紋章。花の数が5、7、5となっていることから「五七桐(ごごしちぎり)と言われる

日本では、弥生時代から桐を材として利用しており、登呂遺跡から「小琴」が発掘されています。

現在も桐材は、神社、寺院、宮廷の儀式で歌や舞に用いられる琴や箏として使われ続けています。

また、桐は紋章として、皇室や日本国、貨幣の装飾などに使われています。


娘が生まれたら桐を植える

かつて日本では女の子が生まれたら、キリの木を植える習慣がありました。将来、娘が嫁ぐとき、娘とともに大きく育ったキリの木でタンスにして持たせてあげるためです。キリの成長のサイクルと人間の成長のサイクルが適合することを先人は知っていたのでしょう。将来を見通して、育てて、使うという日本人の美しい習慣だと思います。


キリ〔桐〕は家具に適した樹種

桐材

キリ材は国産材の中で、最も軽くて淡褐色。防湿効果・防虫効果・耐火性もある

桐は成長が早く、短期間で木材が得られる樹種であることが特徴の一つです。また、材としては空洞が大きいことによる防湿効果、虫が嫌うタンニンを多く含むことによる防虫効果があります。

多湿な気候風土をもつ日本では、この性質を利用してタンスをつくります。上記のように桐のタンスには、衣類を守る効果があるからです。

さらに、古くなるほど耐火性が強くなり、火災にあっても着物が守られます。ちなみに、金庫にも耐火性をあげるため、桐板を張るそうです。


キリ〔桐〕材の琴の音色は美しい

桐材は日本の木材の中で最も軽く、優美である上に、防湿性があり、腐りにくく、音響効果を高めるなどの理由から、琴の材料に使われてきました。

名器には樹齢200年に達した木目の美しい無傷の桐材が使用されているとのことです。特に北海道や東北地方の寒い地方で成長する桐は、木目が密で道管が大きく、密度が小さい材となり、良材になると言われています。岩手の南部ギリや福島の会津ギリが良材として有名です。

中でも、岩石地や砂礫地などでゆっくり成長したものが最もよく、畑や庭地で育ったものは楽器として用に耐えないとのことです。

きっと、清流沿いの砂地で、朝夕のお寺の鐘の音を聞きながら育つキリ材が最適なのかも知れませんね。


〔参考文献・出典〕
小学館「葉で見分ける樹木」(林将之著)/日本文芸社「樹木図鑑」(鈴木庸夫著)/講談社「木と日本人のくらし/」日本木材総合情報センター「木net