カラマツ 唐松 落葉松

●マツ科カラマツ属
●北海道、東北地方、本州中部の寒冷地帯
唐松は唐絵(中国の絵画)のマツに似ていることが名前の由来です。日本の針葉樹のうち唯一の落葉樹であることから「落葉松(ラクヨウショウ)」と書きます。 樹形は美しく、秋には葉を黄金色に染め、北海道や本州中部の秋の景色になくてはならない樹種です。そして、晩秋には葉を落として冬を迎えます。
黄金色に黄葉した
秋のカラマツ林


短枝に20〜30本の葉がまとまって生える。果球は3cmほど
短枝(=短い枝)には葉が輪を 描くようにつく
雌花は早春に葉の展開と同時に上向きに咲く

新緑も美しいカラマツ林
樹皮はうろこ状に不規則に裂けて、はがれる
最近の加工技術により、カラマツ材の欠点が克服されつつある
◆時代に取り残されてしまったカラマツ
戦後、将来の需要を見込んで、日本各地で大規模な植林(拡大造林)が行なわれました。木を植えることは、将来に向けて貯金することと同じと言われ、全国的に盛んに行われました。そのとき、長野県、山梨県などでは、カラマツが選ばれました。育苗が容易で、根付きも良く、成長も速いため、大量に生産する樹種としてはとても適していました。 カラマツは積極的に植林され、長野県では造林面積の約50%はカラマツになりました。
ところで、カラマツ材は、割れや狂いがでやすく、板材として使いにくいため、将来は工事や炭鉱で使うの杭や電信柱として使用される予定でした。
そして今日、収穫期(伐採期)を迎えています。しかしながら、電信柱にはコンクリート、工事の杭には別の素材が使われ、成熟したカラマツは不要な存在となってしまいました。ヤニを含むためパルプ材(=紙の原料)としての用途も困難です。カラマツは時代の要求からはずれてしまったのです。役に立たなくなったカラマツは、たとえ伐っても需要がなく、採算が合わないため、放置されているケースも少なくないようです。
◆尾瀬の木道はカラマツ
需要が少なくなっているカラマツですが、上手に活用されている事例もあります。緑豊かな山々に囲まれた尾瀬の湿原とともに景観をつくっている木道のほとんどがカラマツ材です。以前は木道にカラマツの他、トウヒやブナ、ナラなどが使われていました。しかし,酸性の強い湿原では腐食が激しいため、今では腐食しにくいカラマツが使われています。
ところで、尾瀬は特別保護区であるため、現地での伐採は禁止され、近県のカラマツが使われているとのこと。 木道は10年ほどで架け替えを行いますが、木道としての役目を終えたカラマツはパルプとなって国産材用紙としてリサイクルする取り組みも始まっています。きっと戦後の拡大造林のときに植えられたカラマツも活かされていることでしょう。
なお、最近の木材加工技術により、カラマツの欠点が克服されつつあります。北海道の堆肥舎や長野県の松本やまびこドームは地元県産のカラマツを使っています。さらに、海外では台湾の博物館を信州カラマツで作り、その後に大きな地震がありましたが、博物館には災害はなかったとのことです。
〔参考文献・出典〕
日本文芸社「樹木」/日本木材総合情報センター「木net」


