欅(ケヤキ、けやき)

ニレ科ケヤキ属

本州~四国~九州、朝鮮半島、中国にも分布

ケヤキ(欅)は、ニレ科ケヤキ属の落葉広葉樹。北限を青森県とし、温帯から暖帯まで広く分布する日本を代表する落葉広葉樹です「けやき」の名は「けやけき木」が由来。「けやけき」には「目立つ、ひときわすぐれている」という意味があります。ケヤキは、材としての有用性とともに、その姿の美しさも人々の心の拠りどころとなり、昔から尊ばれてきました。

茨城県だいご小学校の欅 重要文化財、推定樹齢500年

ケヤキの樹形はおうぎ形になる

孤を描くような鋸歯が特徴。葉柄は1cmほど

樹皮はまだらにはがれて、凹凸ができる

秋には赤、黄などに色づく

樹形があらわになる冬季の佇まいも美しい

ケヤキの材鑑。美しい杢を活かして家具材などに使われる

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欅(ケヤキ)は日本を代表する広葉樹のひとつ

日本を代表する広葉樹といえば、ブナ、サクラ、カエデなどいくつか挙げられますが、ケヤキ〔欅〕もその一つでしょう。北海道を除いて全国的に分布しており、日本ではなじみの深い木です。早生樹とよばれるくらい成長が早く、山林だけでなく、神社や公園、住宅地、街路樹や庭園樹としても植林されており、直径が1m以上の大径材や樹高が20mにも達するものも多くみられます。ケヤキは春の芽吹きからはじまり、夏の緑陰、秋の黄葉、冬の木立と、四季を通じて美しい樹木です。

※ケヤキは北海道でも散見されますが、内地(道外)から持ち込まれた個体といわれています。

ケヤキ並木

ケヤキ並木(大阪府立中之島図書館前)

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ケヤキは材としての利用価値が高い

ケヤキ〔欅〕材は利用価値が高く昔から重宝されてきた

ケヤキ〔欅〕材は利用価値が高く昔から重宝されてきた

ケヤキは材質が硬く、摩耗に強い、心材が腐朽しにくいため、強靭な材「強木(つよき)」として知られていたことから、かつては「槻(つき)」と呼ばれました。木目も美しいため、利用価値が高く、古くから重宝されてきました。

大きな材は、建築材として寺社建築、城建築に使われます。また、樹齢が高く、大径になったケヤキには、しばしば、樹幹の外側にこぶ状の組織が現れ、材の繊維の配列が不規則になりいろいろな形の「杢(もく)」が現れます。これは「玉杢」とよばれ、化粧的な価値が高まり、装飾材としても珍重されます。

また、ケヤキの心材色は赤褐色で淡い赤黄色の辺材と調和して独特の風合いを醸しだします。家具、臼、杵、電柱、腕木、太鼓の胴、器具、欄間、彫刻材、椀物など様々な用途に用いられています。

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鉄道林

鉄道林として植林されたケヤキ(欅)

鉄道林として植林されたケヤキ(欅)

鉄道林とは自然災害から線路を守るために鉄道沿線に設けられる森林です。土砂災害や落石、雪崩、吹雪などから鉄路を守ります。ケヤキは生長が早く、根の張りがよく、岩石地や崩壊地にもよく生育するので、土砂崩壊や落石を防ぐ目的で斜面に植栽されることが多くあります。

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清水寺の舞台の柱

清水の舞台の柱はケヤキ(欅)

清水の舞台の柱はケヤキ(欅)

ケヤキの耐用年数は800年~1000年もあるといわれています。そのためケヤキはお寺や神社を建築する際の柱として不可欠な用材です。京都東山の清水寺の舞台は78本のケヤキの柱で支えられています。高さは12メートル以上もあります。

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ケヤキの太鼓

ケヤキ(欅)の太鼓

ケヤキ(欅)の太鼓

和太鼓の材として最高のものとされているのはケヤキ材です。ケヤキは弾力と重さがあり音を反射しやすいためです。また、強度と耐久性に優れており、加工しやすいということも挙げられます。さらにケヤキは木目が美しく、使用年数が重なるほど、質の良い色つやが出てくるということも和太鼓に適しています。

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ケヤキの巨樹・巨木ランキング

ケヤキは、上記のとおり建築材や家具材等として優れているため、めぼしい巨樹・巨木は次々と伐採されてしまいました。そんな中でも樹齢1000年以上のケヤキが今も全国に点在しています。

環境省「自然環境保全基礎調査(平成13年10月)」より
順位呼称/場所幹周備考
1東根の大ケヤキ山形県東根市15.60m山形県東根市
2天子のケヤキ福島県猪苗代町15.40m福島県猪苗代町
3三恵の大けやき山梨県若草町14.72m山梨県若草町
4木下のケヤキ長野県箕輪町12.45m長野県箕輪町
5八幡のケヤキ福島県下郷町12.00m福島県下郷町
6野間の大けやき大阪府能勢町11.95m大阪府能勢町
7根古屋神社の大ケヤキ山梨県須玉町11.90m山梨県須玉町
8高瀬の大ケヤキ福島県会津若松市11.80m福島県会津若松市
9大六のケヤキ長野県上田市11.73m長野県上田市
10鹿島神社のケヤキ茨城県小川町11.60m茨城県小川町

〔参考文献・出典〕
茨城県教育委員会/小学館「葉で見分ける樹木」(林将之著)/新建新聞社「日本の原点シリーズ 木の文化」/学習研究社「日本の樹木」/日本文芸社「樹木図鑑」(鈴木庸夫著)/自然をつくる植物ガイド(林業土木コンサルタンツ)/日本木材総合情報センター「木ねっと」


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