「森」と「林」の違い 「森」の語源 「林」の語源

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「森」と「林」の違い

「森」と「林」の違いは木の本数?

「森」は木が3つ、「林」は木が2つ。「木」が3本の森の方が、2本の林よりも「木」が多く集まっている場所のように思えます。そして、そのように解釈されている方も多いのではないでしょうか。

しかし、実際に使わている言葉を見ると、木の本数で判断するのは早計のようです。例えば、ジャングルの「密」、アマゾンの「熱帯雨」、白神山地の「ブナの原生」など、木の多い場所に「林」が使われていますし、逆に「鎮守の」(※)のように、必ずしも木が多くない場所に「森」が使われていることもあります。

※鎮守の森:日本各地の人里近くにあり、神社や御神木と呼ばれる大きな木を囲むようにして、こんもりとした大小の森。人々は、奥山の神様がときどき人里に降りてくると考えており、その神様を迎える場所として、小高い場所に木を植えて森を育てたと言われています。

他にも、「森林」「原始林」「雑木林」「スギ林」「針葉樹林」「県民の森」「森づくり」「憩いの森」など、木の多さや木の生えている場所の規模(面積)によらず、「森」や「林」が使われています。これらの言葉はいずれも「森」と「林」を置き換えて使うことはありません(※)。

※例えば、「鎮守の」は「鎮守の」とは言いませんし、「雑木」は「雑木」とは言いません。

このように、実際に使われている「木」や「林」が含まれている言葉(熟語)を見ると「森」と「林」の意味は、単に木の本数に由来するものではないようです。


「森」の語源は「盛り」と言われています。確かに「鎮守の森」は小高い場所にあったり、田園風景の中に突如盛り上がっているように存在しています。

※私見ですが、「森」を「盛り」と解釈すると、「森」は「林」の上にさらに「木」があり、盛り上がっている様子を表現しているようにも見えます。

鎮守の森(秋田県/八幡神社)


森と神社

日本では「山」を「森」と同一のものとしていたようです。日本各地には「~森(山)」のように、「森」が名称に入っている山が数多くあり、特に東北地方や四国地方には多く、枚挙に暇がありません(※)。

※青森県に黒森、甚吉森、烏帽子森、木賊森など、岩手県に高森、大黒森、薬師森、毛無森など、秋田県に笹森、赤倉森、竜ヶ森など、山形県に八森、栂森、天狗森など、四国に鈴ヶ森、雨ヶ森、天狗森、甚吉森、二ノ森、東三方ヶ森など、なお、和歌山に麦粉森山、城ヶ森山、樫尾森山など、琉球に雨乞森、平家森、波照間森、運玉森など、二ッ森山…青森県、岩手県、宮城県、山形県、岐阜県。

※私見ですが、「森」は「木」が三角形△に並んでおり、山を表現しているようにも見えます。

また日本人は古来より、入ることの困難な高くて大きな山(奥山や大きな森)には神が降り、神が宿る場所と考えてきました。それを物語るように多くの山には神社があります。神社のない山を見つけることの方が難しいかも知れません。「神」 の力によって木が自然に生え、盛り上がるように見えるのが、「森」と考えられそうです。

森と山が同一のものと考えると、人々を守護する神が宿る場所という発想から、「守り」「護り」に通じているのかも知れません。「○○林」が身近に感じ、「森」は奥の深く、神聖な感じがする方も多いのではないでしょうか。


「スギ林」はスギが集まっている場所、「ブナの原生林」はブナが集まっている場所、「雑木林」は、ナラやクヌギ、シイ、カシ・・・など、いろいろな木(雑木)が集まっている場所、「天然林」は天然の木が集まっている場所・・・このように見ると、「○△林」は「○△」が集まっている「場所」を表現しているようです。

森は木が鬱蒼(うっそう)と茂って、盛り上がっている「様相」を表し、林は、同じような樹木(樹種や樹齢、樹高などが同じような樹木)が集まっている「場所」を表していると言えそうです。

左手奥に高さが揃った「林」が見える(スギ林と想定される)

※私見ですが、「森」が三角形に木が並んで、盛り上がっている様子を表しているのに対し、「林」は二本の「木」高さが揃っており、同じような木(例えば、樹種や樹齢)が集まっていることを表現しているようにも感じます。

※このような考え方をから判断すると「木がこんもり集まった(木が集まって盛り上がっている)場所」、つまり「森」が、いくつか集まった場所が「森林」という解釈ができそうです。

日本の林業では、人間の手が入ったのが「林」で、自然に生えているのが「森」として区別する場合があるようです。このことから、「林」の語源は「生やし」「映やす」「栄やす」と考えられそうです。つまり、人の手で木を生やした場所が「林」と言えるかも知れません(※)。

※出典:語源により日本人の太古の感性に迫る「森」と「林」の違い

ただ、「原生林」のように、必ずしも人が植林して育てた木が集まっている場所とは言えず、健全に育つように人が管理、保護している場合も、「○○林」と言えそうです。つまり、人間が「生やした」または「映やした」、「栄やした」木が集まっている場所も「林」と言えるのではないでしょうか。


〔参考・出典〕
岩波書店「広辞苑(第五版)」/森林インストラクター養成講習テキスト「森の民俗学」/鷲頭隆史氏「文字と言葉」/ウェブサイト悠遊趣味「山名由来」/tak-shonaiのウェブサイト「語源により日本人の太古の感性に迫る「森」と「林」の違い」