天然林と天然生林、原生林

 
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天然林と原生林の違い

原生林/長野県八千穂高原

原生林/長野県八千穂高原

「天然林」といえば「人の手が入っていない森林」がというイメージを抱かれると思います。端的に言えばそのとおりです。しかし、現実には、日本の場合、多くの森林には、何らかの形で人の手が入っており、本来の意味を持つ「天然林」と呼ばれる森林は少なくなっています。

※木材生産が盛んだった時代には「人工林(育成林)」に対して「天然林」と呼ばれていました。


天然林とは

「天然林」の本来の意味は、「自然の力で育ち(発達し)、人手が入っていないか、長い間にわたって人手の入った痕跡のない森林」です。

天然林の本来の意味を理解するためには「森林の発達段階」を知る必要があります。森林の発達段階は、裸地から安定した森林に成長する段階(森林の遷移)のことで、概ね次のとおりです。

  1. 裸地(岩石に覆われた大地など)
  2. 地衣類・コケ類が侵入する
  3. ※地衣類・コケ類の遺骸が積み重なり、土壌を形成し、植物が育つ環境を整える。

  4. 植物が繁茂し、草原ができる
  5. 陽樹の森林ができる
  6. ※陽樹とは、強い光を好み、乾燥にも強い樹種。陽樹が成長すると、自らが光を遮ってしまい、幼木が育たなくなる。

  7. 陰樹の森林ができる
  8. ※陰樹とは、弱い光でも育つ樹種。陽樹が光を遮っても育つことができる。

  9. 原生林ができる
  10. ※これ以上、植生が変化せず、安定した森林のことで、「極相(クライマックス)」と呼ばれる。

上記の「4.陽樹の森林ができる」以降が、「天然林」と呼ばれる森林です。

また、上記の森林の発達段階の中で、人が伐採したり、焼いたりするなどして、荒野に戻り、再び「原生林(極相状態)」に達した森林も「天然林」と呼ばれます。

繰り返しになりますが、「天然林」は「自然の力で育ち(発達し)、人手が入っていないか、長い間にわたって人手の入った痕跡のない森林」のことです。また、「原生林」は「天然林が、これ以上発達(遷移)しない安定状態になった森林(極相林)」のことです。


天然生林とは

「天然生林」と呼ばれる森林もあります。天然生林は、2つの意味で使われています。

  1. 天然林が、伐採されたり、台風などの気象災害、山火事などにより破壊された跡に、土中に残った種子や残った植物の生長により再び発達段階に入った森林
  2. ※天然林の初期段階は、裸地であるのに対し、天然生林は、初期段階に土壌があるため、一般に陽性の樹木からスタートします。

  3. 自然の力で育つ森林(天然林)でも、人の手で、森林(樹木)が育つためのサポート(天然更新補助作業/保育作業)を行ったり、行っている森林。

しかしながら、上記の2のように人の手でサポートを加えた森林を「天然生林」と呼ばず、「天然林」と呼んでいる場合もあるようです。この場合は、人の手が加わっているので、本来の天然林とは違います。

一般的には「天然林」と呼んではいるもののいるものの、明らかに人為的な影響を受けてきた「天然生林」であることが多くなっています。



〔参考・引用〕
一般社団法人日本森林技術協会「林業技術 No.696」藤森隆郎/コトバンク・デジタル大辞泉/一般財団法人 環境イノベーション情報機構「EICネット」