常緑樹がいつも緑を保っている理由

 
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常緑樹がいつも緑を保っている理由

常緑針葉樹は冬でも緑を保っている。(©私の森.jp)

雪が降った翌朝が晴天の日には、クスノキの並木やモミ、マツ、スギ、サザンカなどは少々雪をかぶりながらも青々としており、とても映えて見えます。

雪景色の中、青々としている樹木は「常緑樹」、その中でマツのように葉が細長いものは「針葉樹」です。そのため、マツは「常緑針葉樹」と呼ばれます。一方、サザンカのように葉が広いものは「常緑広葉樹」と呼ばれます。

※ちなみに、秋に葉を落とす樹木は「落葉樹」と呼ばれ、こちらも「針葉樹」と「広葉樹」があります。


針葉樹と広葉樹の日光の獲得戦略が違う

日本で代表的な常緑樹は、スギやヒノキ、マツ類。これらの樹木は季節によらず、常に緑です。葉は細長く、針状またはうろこ状の常緑針葉樹です。

針葉樹は、光合成のための日光をより多く獲得するため、上に高く高く伸びて、他の植物と競争しながら日光を得て光合成を行い成長します。そのため、樹高日本一、樹高世界一と言われるような木はすべて針葉樹です。

針葉樹は競争しながら真っ直ぐに上へ伸びようとする(©私の森.jp)

針葉樹は、成長が速く、まっすぐに伸びるため、通直な材がとりやすく、その材は軽くて柔らかいため加工しやすいという特徴があります。このような特性を活かし、日本では、スギやヒノキ、カラマツ(※)などの針葉樹が多く植えられています。

一方、「広葉樹」は、どちらかというと横に枝葉を大きく張り、日光を多く受けることで生き残っていこうとしているようです。

※カラマツは針葉樹ですが、落葉する日本では唯一の落葉針葉樹です。カラマツは育成林(人工林)を構成する主要樹種のひとつです。

※広葉樹は、針葉樹に比べて成長が遅く、その材は重いものが多く、木目が変化に富んでいるものもあります。美しい木目を活かして、家具や内装にも使われます。


常緑樹の葉の寿命は

ところで、常緑樹と言っても葉を落とさないわけではなく、光合成の効率が悪くなった古い葉は順次落葉します。通常は、少しの古い葉と新しく育ってきた多くの葉がいつも混在しているため、常緑に見えるのです。

樹木が葉をつくり、その葉を維持するためには、養分が必要です。その養分は、枝や幹(※)、針葉樹の場合は葉にも蓄えられています。さらに、樹木が生長するためにも養分が必要です。

※樹皮の内側から木材(木部)との間の甘皮(あまかわ)とも呼ばれる部分に多く蓄えられるため、食料に乏しい冬場には野生動物によってかじられることがしばしばあります。

それらの養分は「葉」で光合成を行うことによって作られます。葉は光合成が盛んなほど、早く老化(劣化)していきます。葉が老化し、光合成によって作られる養分が少なると、その時点で寿命(落葉)です。

言い換えると、光合成によってつくられる養分が、葉を維持するための養分を下回れば落葉するのです。つまり、光合成によりつくられる養分のカロリー収支がマイナスになるときが寿命、落葉の時期です。

日本の常緑樹の場合は、1年から2年が平均的な葉の寿命になります。マツ類の中には2年~10年と長期のものもあります。熱帯林では3ヶ月と、とても短く、最も寿命の長い葉は、アメリカのイガゴヨウマツで33年だそうです。


葉の寿命は環境によって決まる

一つの葉が30年以上の寿命を持つというイガゴヨウマツの一種
メトシェラ(©Oke/wikipedia)

常緑樹の寿命は、環境によって決まります。同じ種でも、日照時間や降水量、土壌に含まれる栄養分の量等によって決まりますが、これらの環境要因がよくないほど葉の寿命が長くなります。

日本でも、南に暖かい地方の常緑広葉樹よりも寒い地方のエゾマツやトドマツのような常緑針葉樹の方が葉の寿命が長くなるそうです。

樹木の生育環境が厳しく、たとえ光合成の効率が悪くても、葉をつくったときの養分と葉を維持してきたエネルギーを光合成によって回収できるまでは生きないと、樹木にとっても採算が合わないためと言われています。

つまり、光合成を行う環境が悪いほど、養分(カロリー)の回収期間が長くなり、葉の寿命が長くなるのです。熱帯のように植物の生育環境が良い場所では、常緑樹でも葉の寿命が3ヶ月と短いですし、葉の寿命が33年もあるイガゴヨウマツは森林限界と呼ばれる非常に厳しい土地に生息しています。

人間も摂取するカロリーをコントロールすることにより健康を保ち、長生きすると言われていますが、人間も樹木の葉と似ているかも知れません。


〔参考〕
日本植物生理学会 http://www.jspp.org/