東根の大ケヤキ 欅の中で日本一(山形県東根市)

東根の大ケヤキ

東根の大ケヤキ

東根の大ケヤキ

東根の大ケヤキは「原町の大ケヤキ(群馬県)」、「三恵の大ケヤキ(山梨県)」と並んで「日本三大ケヤキ」と称されています。ケヤキの中で「巨樹」とか「大ケヤキ」呼ばれるほどの大きな木の場合、概ね周囲10m程度ですが、山形県東根市の東根小学校の校庭にあるケヤキは幹の周囲が15.7mもあり、日本一の太さを誇っています。

よく見ると幹の中心に隙間があります。どうやら、昔は離れていた2本の木がお互いに幹が太ることによって接触してしまった合体木のようです。

※ちなみに樹種が違うとこのように組織が癒合することはありません。

この大ケヤキのある場所は南北朝時代の武将・小田島長義が貞和3(1347)年に始めてこの地に東根城を築城したと伝えられ、城の本丸跡にあたります。かつては「雄ケヤキ」と「雌ケヤキ」と呼ばれた2本の大ケヤキがありましたが、明治18年に雄ケヤキが枯れてしまい、雌ケヤキだけが現在残っており、これが「東根の大ケヤキ」といわれています。

山形県立林木試験場の大津正英氏(農学博士)によれば、樹齢は1500年以上です。地上から1.2mでの幹周は16m、主幹は地上5.5mの高さで大きく二股に分かれています。南西側の幹はやや直上して枝を分けています。東側の幹は大きく三枝を分けて天空をおおい、その高さは28mに達します。

※国の文化財審議会専門委員で東京大学名誉教授本田正次博士の「植物文化財」によると1000年以上となっています。

平成元(1989)年に、植物学の権威者である金沢市の里見信生氏が大相撲の番付表を模した「日本欅見立番付」を発表し、東根の大ケヤキは「東の横綱」に選ばれました。樹勢もますます盛んで、今後数百年は全国の「ケヤキ」番付の「東の横綱」の座が保障できると太鼓判を押されているようです。

ケヤキの生育環境とケヤキ材

ケヤキは本州以南に分布しますが、巨樹があるのは熊本県、北陸から関東・東北地方で、火山を起源とする土壌(ローム)が堆積した地域がほとんどです。花崗岩質の砂質のマサ土が多い関西地方ではあまり見られません。関東の平地では、50年で周囲2mを越えることは良くありますが、成長が速いと、白っぽい辺材部分が多くなるとともに、材の狂いが起こりやすくなります。このような木を「ツキ」と呼び、山奥でゆっくり成長した、赤っぽい心材の多いケヤキとは区別されています。

巨樹になる理由

ケヤキは成長が速く、100年ぐらいで周囲が3~4m程度の太さになります。さらに巨樹と呼ばれるほど太いケヤキの場合は、光環境が良好であることを前提として、次のような環境で生育してきたようです。

  1. 高くなった幹が台風や落雷などで折れた時、根元から出た新しい枝(萌芽枝、彦生え)が折れた主幹を包むように大きく育ち、やがて合体し巨大な幹になる。
  2. 若木の時になんらかの事故で双幹や多幹になったり、急な斜面や尾根に育ったため何本の幹に分かれていたりすると、長年月の間に幹は再び合体し、単幹の木に較べると巨大になる。
  3. 大木になり、太枝が枯れたり、幹の中心が樹洞になったりすることで、その傷を直す組織や、重くなった樹体を支えるために、急成長する組織「あて」がこぶのようにできて、根元付近の幹が巨大になる。

東根の大ケヤキの情報

所在地山形県東根市東根 東根小学校
(山形県東根市本丸南1丁目 東根市立東根小学校校庭)
指定国指定天然記念物(大正15年指定)
国指定特別天然記念物(文部省|昭和32年9月11日指定)
「グリーン山形110景」選定(山形新聞社・山形放送主催|昭和61年)
「新・日本名木100選」選定(読売新聞社と国際花と緑の博覧会協会主|平成2年6月)
樹齢1500年以上(推定)
サイズ高さ:28m、根回り:24m、目通り幹周:16m、直径:5m

〔出典・参考文献等〕
農林中央金庫「ぐりーん&らいふ」/東根市/東根市教育委員会/kotobank.jp

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