縄文杉 環境保全の象徴ともいえる木

縄文杉 - かつて推定樹齢7200年説で話題となった屋久島の高齢樹

縄文杉 - かつて推定樹齢7200年説で話題となった屋久島の高齢樹

縄文杉とは

縄文杉は、屋久島の中央部にある宮之浦岳の山腹に位置する巨大なスギの木です。周囲は原生林に覆われています。縄文杉は、樹齢約2000~7000年とされ、高さ約25メートル、幹周り約16メートル、直径約5メートルあります。このような巨木は、日本でも非常に珍しく、国の天然記念物に指定されています。

屋久島は、鹿児島県に属する南西諸島の島で、縄文杉はその代表的な観光名所の1つです。縄文杉は、周囲に原生林が広がる自然豊かな場所にあり、屋久島には縄文杉に至るいくつかのトレッキングコースも整備されています。

縄文杉の名前の由来

縄文杉の名前の由来については、諸説あります。縄文時代にこの地域に人が住んでいたとされており、縄文時代の文化と縁があるということから「縄文杉」と名づけられたという説があります。また、幹回りが非常に太く、複雑な模様があることから、縄文時代の縄文土器の文様に似ているとも言われています。また、別の説では、縄文杉の周りには縄文時代の遺跡が多く残っており、その遺跡の中には、杉の木を利用したものも含まれているとされています。そのため、この地域にある杉の木が縄文時代から存在していたということから「縄文杉」と名づけられたという説もあります。

縄文杉の樹齢

縄文杉はかつて推定樹齢7200年説が話題となりました。科学的な調査で、セルロース成分の放射性炭素年代測定が行われましたが、サンプルによって1000年から2170年の間で値が大きく異なったため隣接するいくつかの杉の木が合体したものではないかといわれたこともあります。この合体木説は、最近の遺伝子などの研究で否定されました。

縄文杉の正確な樹齢を測るべく、これまでにいくつかの科学的な調査が行われてきました。1996年に行われた放射性炭素年代測定によると、縄文杉の樹齢は約2600年と推定されています。この測定は、縄文杉から採取した木片の放射性炭素濃度を測定することで行われました。また、2018年には、岐阜大学の研究チームが縄文杉に対して安全な採取方法で樹齢測定を行い、約2800年と推定しています。この測定は、縄文杉の幹から採取したコアサンプルの年輪幅を測定することで行われました。縄文杉の樹齢は未だ不明なままですが、屋久杉の存在は、少なくとも千数百年以上にわたり屋久島の自然環境が変わらずに維持されてきたことの証であるといえます。いずれにしても、縄文杉は非常に長い年月を生き抜いてきた古代の巨木であることは間違いありません。

一般的な屋久杉の年輪数調査としては、森林総合研究所の所蔵する円盤で1430年、旧下屋久営林署の円盤で1776年、信州大の立木調査で1356年などがありますが、2000年以上の年輪は確認されていません。

なお、縄文杉などの有名な杉については粗穂からクローンが育てられています。その材質調査をしたところ屋久杉の木材は密度が高くて強いことがわかりました。また、黒心で心材の含水率が高いことが明らかとなりました。


〔出典・参考文献等〕
独立行政法人森林総合研究所「季刊森林総研創刊号 - 2008.05」他

このページのトップへ