セイヨウハシバミ ヘーゼルナッツ の木

セイヨウハシバミ

セイヨウハシバミ

セイヨウハシバミ(学名: Corylus avellana、漢字表記:西洋榛)は、ハシバミ科に属する落葉広葉樹です。ヨーロッパから地中海域が原産で、ヨーロッパ全土やアジアの一部に広く自生しています。日本でも栽培されていることがあります。

セイヨウハシバミの特徴としては、高さが2~5メートル程度の低木で、茎や葉に細かい毛があります。葉は長さ数センチメートル程度で、先端が尖った形状をしています。また、早春には黄緑色の独特な花を咲かせます。

また、セイヨウハシバミは、非常に貴重な食用植物としても知られています。その実であるヘーゼルナッツ(またはハシバミの実)は、栄養価が高く、タンパク質や脂質、ビタミンE、ミネラルなどを含んでいます。多くの地域で食用として楽しまれており、料理やお菓子の材料として広く使われています。さらに、食用だけでなく、自然療法や庭木としても利用されています。その美しい姿と豊かな実は、人々に長い間親しまれてきた植物です。

特にハシバミ(セイヨウハシバミ)の原産地であるヨーロッパでは非常に古くから親しまれています。ギリシャ神話や北欧神話にも登場し、ケルト文化では神聖な木として敬われ、知恵の象徴とされていました。ハシバミには隠れたものを見つける力があると信じられ、鉱脈や水脈を探るダウジングにも使われています。伝承や習俗などさまざまな場面でハシバミは登場し、人々との深い関わりが窺えます。ハシバミの実であるヘーゼルナッツは貴重な重要な食料源としても重要でした。

グリム童話の「シンデレラ」にハシバミが重要な役割を果たしているのは、ケルト文化の樹木信仰やゲルマン民族の生命を守る木としての崇拝されていたことと関連しているからと言われています。また、ハシバミの枝を贈ることは、財産を譲渡する証とされることもあるそうです。ドイツ文学者の高橋義人氏によれば、シンデレラ物語の核心は「動植物の持つ魔力への深い信仰」であり、農耕儀礼と密接な関係があるとされています。

ハシバミの木とシンデレラ物語

一般的によく知られるシンデレラの物語は、フランスのペロー童話が基本となっている場合が多く、グリム童話とは異なる点があります。

ペロー童話とグリム童話で大きく異なるのは、シンデレラが舞踏会に行く場面です。ペロー童話では、名付け親(妖精)がカボチャを四輪馬車に、ネズミを馬と御者に変え、そしてシンデレラの服を豪華なドレスに変身させ、ガラスの靴を与えて舞踏会に送り出します。

一方、グリム童話では、妖精や魔法使いは登場しません。シンデレラは父親からのお土産として「帰り道に父の帽子に最初に触れた若い枝」を願い出て、ハシバミの若木をもらいます。その若木を母の墓に植えると、大きく成長します。シンデレラがこのハシバミの木にいろいろな願い事をすると、二羽の白鳩が現れて欲しいものを落としていくのです。舞踏会に着ていく服をハシバミの木に願うと、やはり白鳩がやってきて、空から豪華なドレスと靴を三日間連続で落としてくれました。このとき白鳩が落とすものは、日ごとに豪華さを増していき、三日目は黄金の靴でした。シンデレラは白鳩が落としてくれたものを身に着けて舞踏会に行くことができました。


〔出典・参考文献等〕
(一社)日本森林技術協会「森林技術|No.975」子どもにすすめたい「森」の話

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