国有林 国民参加の森林づくり レクリエーションの森 遊々の森 木の文化

開かれた「国民の森林」

開かれた「国民の森林」

国有林では、林野庁所管の森林管理局、森林管理署等が主導となり、国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、保健休養の場の提供などの機能を発揮させるための取り組みを行なってきました。最近では、これらに加えて、地球温暖化の防止、生物多様性の保全、森林とのふれあいや森林環境教育への寄与が求められるようになってきました。

このように国有林への期待や要望は多様化しており、それに対応すべく、レクリエーションの森、ふれあいの森や企業の森林づくりなど、開かれた「国民の森林」としての様々な取り組みも行っています。

景勝地で有名な福島県の裏磐梯も国(林野庁・関東森林管理局)により保全・管理されている。


レクリエーションの森

京都の嵐山もレクレーションの森のひとつ「風景林」。 雄大な眺望と地域の歴史を感じることができます。

林野庁では、多くの方々に森林を利用し、自然に親しんでいただく目的で「レクリエーションの森」として国有林を開放しています。レクリエーションの森は、優れた自然景観を有し、自然観察、スキー・登山といった野外スポーツに適した森林です。

レクレーションの森は6タイプがあり、全国に1000箇所以上設定されています。

区分
設置の目的/代表的な場所
箇所
(面積)
自然休養林 景観が美しく、癒し(保健休養)に適した森林。自然探勝、登山、ハイキング、キャンプなどを楽しむことができる。
高尾山、赤沢、屋久島
89箇所
(104千ha)
自然観察教育林自然の変化に富み、野生動植物の観察や森林の働きなどを学ぶことができ、自然観察学習に適した森林。
箱根、軽井沢、上高地
165箇所
(32千ha)
風景林名所、旧跡等と一体となって景勝地を形成している森林。森林の雄大な眺望と地域の歴史を感じることができる。
摩周、嵐山、宮島
483箇所
(179千ha)
森林スポーツ林 アウトドアスポーツ(キャンプ、サイクリングなど)をとおして、気軽に森林とふれあうことができる。
風の松原、扇の仙、西之浦
57箇所
(8千ha)
野外スポーツ地域 スキー場や宿泊施設などが一体となった地域。雄大な自然の中で、爽快な汗を流すことができる森林。
八幡平、玉原、苗場
197箇所
(46千ha)
風致探勝林 湖沼、渓谷など優れた自然が見られ、さまざまな樹木、自然美を楽しむことができる森林。
層雲峡、駒ヶ岳、穂高
108箇所
(20千ha)

全国に1,099箇所(388千ha)が指定されています。出典は林野庁業務資料(平成23年4月1日現在)

全国の森林管理局が保全しているレクリエーションの森です。ぜひ、お近くのお好みの森をお探しください。



木の文化を支える森

檜山古事の森

北海道森林管理局と檜山古事の森育成協議会は、歴史的建造物の修復に備えヒバを4百年かけて育成する「檜山古事の森」を江差町内の国有林に設定

国有林は、多様な森林を有しているという特性から、民有林からの供給が難しい青森ヒバ、天然秋田杉、木曽ヒノキといった寺社仏閣や歴史的木造建造物の修復に必要な銘木について、自然環境の保全に配慮しつつ、計画的な供給に努めています。同時に、地域の歴史的木造建造物、伝統工芸、祭礼行事など次代へ引き継ぐべき木の文化を守るための取組として「木の文化を支える森づくり」に取り組んでいます。

例えば、新潟県佐渡市では、家内安全、五穀豊穣を願って奉納されてきた「鬼太鼓」が500年以上にわたり引き継がれていますが、太鼓やばちの材料となるケヤキやホオノキが安定的に供給できるよう、太鼓の演奏家なども含めた様々な関係者から構成される「鬼太鼓の森づくり協議会」が主体となって、「鬼太鼓の森」づくり活動が行われています。

また、沖縄県では「首里城古事の森」を設定し、世界文化遺産である首里城の保全に向けて、修復資材であるイヌマキの植樹を行ったり、琉球の木の文化の継承に関するシンポジウムを開催するなどの取り組みが行われています。

他にも、奈良の法隆寺など木造建築物、長野・諏訪の御柱祭などのお祭り、秋田・大館の曲げわっぱなど、日本には、歴史的に重要な木造建築物や祭礼行事、伝統工芸など、未来に残すべき「木の文化」が多くあります。それらを守り、継承していくために、国民参加で管理・保全されている森が「木の文化を支える森」です。全国に22箇所設定されています。


保護林

木曽駒ヶ岳の森林生態系保護地域

木曽駒ヶ岳の森林生態系保護地域は、急峻な地形等の自然条件から人的な影響をほとんど受けておらず、中央アルプスを代表する多様な森林が原生的な状態で残されています。

原生的な天然林や貴重な野生動植物の生息・生育地の自然環境を維持するため、保全・管理を行っている森林です。特定動物生息地保護林、植物群落保護林など、保護の目的により7つのタイプがあります。

岩手県の「猿屋裏湿原植物群落保護林」、
新潟県の「蓮華ライチョウ生息地保護林」、沖縄県の「西表島(いりおもてじま)森林生態系保護地域」など、
全国に840以上設定されています。


緑の回廊

「緑の回廊」のエゾシカ

保護林をつないで、緑の回廊を設置することにより、野生動植物が自由に行き来できる生活の場を広げ、貴重な森林生態系を守ることができます。写真は知床半島「緑の回廊」のエゾシカ。

緑の回廊は、野生の動植物のために、人間が整備している森林です。日本の森林には多くの野生動植物が生息・生育していますが、絶滅させることなく多くの動植物を残していくためには、森林間の移動経路を設け、生息地を拡大し、相互交流を促すことが必要です。上記の保護林などを相互に連結して「緑の回廊」とし、野生動植物の移動経路を設けることで、より広範で、効果的な森林生態系の保全を図ることを目的としています。
知床半島、富士山、大隈半島など全国に24箇所あります。


国民参加の森林づくり

林野庁では、国有林を企業や団体、教育関係者等へ活動の場として提供し、技術的な支援などを行なう「国民参加の森林づくり」や「森林環境教育」を推進しています。国有林を「開かれた国民の森林」として森林づくりを国民とともに行なう取り組みです。

◆遊々の森

遊々の森

「遊々の森」は国有林の豊かな森林環境を子どもたちに提供して、様々な自然体験や自然学習を行う場として提供。

現代社会の中では、日常生活で森林と関わったり、木材の利用について体験・学習する機会が少なくなってきています。 森林・林業、木材利用についての意義や重要性についての理解や関心を深めることは、様々な機能を持つ森林を社会全体で支えようという意識の醸成につながります。

このため、林野庁では、学校、教育委員会、地方公共団体などと森林管理署が連携(遊々の森協定を締結)することによって、国有林で森林・林業体験活動が展開できるフィールドを提供する「遊々の森」の設定を進めています。

自然観察、昆虫採集などの森林学習のほか、社会や理科、音楽などの授業、植林・間伐などの体験作業、野外ゲーム、ツリーハウスなどの森林の遊びの場として、継続的に利用することができます。全国に162箇所が設定されています。

◆ふれあいの森

上記の「遊々の森」が子供を対象にした森林であることに対して、「ふれあいの森」はどちらかというと大人向けです。ボランティア団体と森林管理署が協定を締結して、森林づくり活動のフィールドを提供するというものです。

自然とふれあう森、人間疎外に対する癒しの空間、市民が容易に森林に親しむ場所、森林の中で様々な楽しみが可能な場所として「ふれあいの森」が活用されています。全国に132箇所設置されています。

◆法人の森

企業や団体が国と契約し、ともに森林を育成して、伐採後の収益を一定割合で分け合う制度(=分収林制度)を利用して、森林づくりを行う場です。

企業等の環境貢献や社員教育、顧客とのふれあいの場として利用されています。全国に486箇所設置されています。

林野庁では、法人の森を推進すべく企業のCSR担当の方々を対象として「企業の森林づくりフェア」を開催するなど森林づくりに関する情報の提供に努めています。


〔参考文献〕
森林・林業白書/林野庁ホームページ/社団法人全国森林レクリエーション協会「森林レクリエーション(第256号)」