日本の森林面積と森林蓄積の推移

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日本の森林面積は過去50年間増減なし

日本の国土の約7割(66%)を占めている森林面積は約2500万haで横ばいです。日本では過去40年間森林面積の増減はありません。

日本の森林面積の推移のグラフ

日本の森林面積の推移

人工林は昭和41年と平成19年(約50年間)を比べると約30%増えて、1000万haに達していますが、これは戦後の拡大造林によるものです。 拡大造林とは、おもに広葉樹からなる天然林を伐採した跡地や原野などを針葉樹中心の人工林に置き換えることで、同じ期間に天然林・その他は約15%減っています。

「人工林」とは、将来の木材として使うために、先人たちが苗木を植えて、人の手で育てる森林で、いわば「木の畑」です。そのため「育成林」ともよばれます。

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増え続ける森林蓄積

「森林蓄積」とは、「森林を構成する樹木の幹の体積のこと」です。森林蓄積は、日本の森林資源量の目安となります。下のグラフを見ると森林蓄積は増え続けています。特に、人工林(=育成林)の蓄積増加が目立ちます。

上記のとおり、日本の森林面積は、ほぼ横ばいで増減はありません。しかし、森林蓄積は年々着実に増加しており、昭和41年と比べて、平成29年は2.8倍に増えています。特に人工林(=育成林)では約6倍も増えています。人工林資源が十分に活用されてない状況がわかります。

このように日本では、過去約50年(半世紀)の間に、森林面積が増加せず、蓄積だけが増加しています。これは日本の「使うべき森林資源」が充実してきていることを意味します。

日本の森林蓄積の推移のグラフ

日本の森林蓄積の推移

03/04

日本の森林資源はどれだけ使われているのか

それでは、日本と世界の森林資源はどれだけ使われているのでしょうか。次のデータは、各国の森林蓄積(森林資源)とその伐採率です。

自国の森林資源に対する年間伐採量

OECD加盟国の森林蓄積量に対する年間伐採量の比率

日本は他国と比べて自国の森林資源を使っていないことがわかります。上記の繰り返しになりますが、日本では、森林面積の増減がありませんが、人工林(=育成林)の森林蓄積が増え続けています。その理由の一つは、戦後の拡大造林で、生産目的で植林した木々が成長し、収穫期を迎えているにもかかわらず使っていないからです。

日本の木が使われなくなった大きな理由は、安価で大量に入手できる外国産材(輸入材)が増えたことです。日本で年間に利用する木材のうち7割以上は輸入材です。つまり、自給率は3割。日本の森林資源は使われずに、置き去りにされているのです。

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日本では成長した森林を活かすべき時代

森林は、伐採しても、その後に植林して適切に管理すれば、次の世代に残すことができる持続可能な資源です。今、使って植えないと私たちの孫の世代に森林資源を残すことが難しくなるといわれています。

さらに、高齢な木よりも若い木の方が成長が盛んなため、若い木の方が温室効果ガスのCO2をより多く吸収します。森林の世代交代は地球温暖化防止にもつながるのです。

※温暖化防止に向けた森林への期待は大きく、京都議定書の第一約束期間(2008-2012)では、CO2をはじめとした日本の温室効果ガスの排出削減目標のうち、3分2は森林による吸収が担っていました。

今の日本では、森林資源を次世代に残すこと、そして、地球環境保全のためにも森林資源を循環させるため育成林(人工林)を適切に伐採、利用、植林することが必要です。森林を伐らないで守ったり、植えて回復しなければならないのは概ね海外(熱帯林)の事情で、日本とは異なります。 今の日本では、成長した森林を活かすべき時代なのです。


〔参考文献・出典〕
林野庁「森林・林業白書」/林野庁ホームページ「統計資料」


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