日本の森林帯の様相

01/07

降水量に恵まれている日本

日本は、南端の沖縄(北緯25度付近)から北の北海道の北緯45度にかけて位置しており、陽光に恵まれ、比較的温暖な地域です。また、太平洋と日本海に囲まれており、黒潮と対馬海流と呼ばれる二つの暖流が流れています。そしてこれらの地理的環境は豊かな降水をもたらします。夏季には南西の季節風に伴って水蒸気が日本の山々に吹き付けられ、豊富な雨をもたらします。同様に、冬季には北西の季節風が吹きつけ、雪を降らせます。この気象パターンにより、日本は年間を通じて均等な水の恵みを受けています。このように日本は一年を通じて、満遍なく豊かな水に恵まれているので、どの地域でも樹木が育ちやすい環境となっています。これにより、日本は美しい自然景観と緑豊かな風景が見られ、植物が茂り繁茂する国土となっているのです。

02/07

多様な気候帯を持つ日本

日本は地理的に南北に長く、地形が複雑であるため、水平方向、垂直方向においても多様な気候帯を持ち、それに伴い、森林も多様になります。沖縄の亜熱帯から北海道東部の亜寒帯まで多様な気候に伴い、森林もそれに応じて多様になります。また、狭い国土に3000m級の山を持ち、急峻(きゅうしゅん)な地形であるため、低地帯~高山帯まで、高度(気温)に応じて森林も多様になります。

03/07

低木林帯(寒帯/高山帯)

低木林 ハイマツ林

低木林〔ハイマツ林〕

おもに針葉樹からなる低木林帯です。本州中部の標高3000m前後の高山や北海道の一部地域の標高1500mを超える山岳地帯で主にハイマツが見られますが、ハイマツとともに背の低い広葉樹が見られることもあります。

ハイマツと広葉樹

ハイマツと広葉樹

04/07

針葉樹林帯(亜寒帯/亜高山帯)

亜高山帯のオオシラビソ

亜高山帯のオオシラビソ

主に寒冷地の山頂付近に見られ、冬でも落葉しない 常緑針葉樹を主要樹種(優先樹種)とする森林です。北海道ではエゾマツやトドマツ。本州では、シラビソ、オオシラビソ、トウヒ、コメツガなどの林が見られます。

05/07

夏緑樹林帯(冷温帯/山地帯)

落葉広葉樹林帯のブナ林

夏緑樹林 落葉広葉樹林帯のブナ林

日本の冷温帯(北海道南部から九州の山地)に見られ冬季に落葉する落葉広葉樹を主要樹種(優先樹種)とする森林(落葉広葉樹林)です。特に、東北地方や本州中部の山地などで見られるブナ林は自然林が多いため豊かな自然の象徴となっています。ブナの他にもミズナラ、ハルニレ、ケヤキ、トチノキ、カエデ類が見られ、秋には美しく紅葉します。

06/07

照葉樹林帯(暖温帯/低山帯)

常緑広葉樹林 スタジイ

夏照葉樹林 常緑広葉樹林〔スタジイ〕

日本の暖温帯(本州から九州の低地)に見られる常緑広葉樹を主要樹種(優先樹種)とする森林(常緑広葉樹林)です。特に、本州中部より南の地域の低地に見られるシイ・カシ類(スダジイやウラジロガシなど)の林が代表的で、アオキなどの低木も見られます。また、四国や九州、紀伊半島などの温暖な地域の海岸近くではツバキなどの林が見られます。他にもイスノキ、タブノキなどの常緑広葉樹に加え、里山林(二次林)では、クヌギやコナラなどの落葉広葉樹も見られます。

07/07

亜熱帯多雨林(亜熱帯)

亜熱帯多雨林 マングローブ

亜熱帯多雨林 マングローブ

日本の亜熱帯に見られる常緑広葉樹を主要樹種とする森林(亜熱帯多雨林)です。琉球諸島には、オキナワウラジロガシやアコウなどの常緑広葉樹が広がり、ヒカゲヘゴなどの木生シダが優占する森林も見られます。八重山諸島などの海岸ではマングローブの林も見られます。マングローブの林は泥地に生え、潮が満ちると水中に沈みます。


〔参考文献・出典〕
一般社団法人日本林業協会「森林と林業(2014年1月)緑の論壇」/林野庁「RINYA No82」/北海道立理科教育センター


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