クリ材とは?

重硬で耐久性に優れた国産木材

クリ材は、鉄道の「枕木」になるぐらいに重硬であるため、水湿、虫害、腐朽などに対して、保存性が極めて強い材です。また、木材に含まれる「タンニン」によって防虫効果、防カビ効果があり、フローリングの他、家具などにも用いられています。

クリ材の概要と特徴

クリ材(くりざい)は、ブナ科の落葉広葉樹「クリ(栗)」から得られる木材で、日本では古くから建築や家具、土木資材などに幅広く活用されてきました。特に鉄道の枕木として使用されるほど重くて硬く、耐久性が高いことが知られており、水湿や虫害、腐朽に強いのが特徴です。

クリ材が高い保存性を持つ理由のひとつが、木材内部に豊富に含まれるタンニン(渋み成分)です。この成分には防虫・防腐・防カビ効果があり、薬剤処理を施さなくても長期間の使用に耐えることができます。

主な用途

高い耐久性と防虫性を生かし、クリ材は以下のようなさまざまな用途に利用されています。

  • 鉄道の枕木(耐久性・重量を活かす)
  • 土台や柱、敷居などの建築部材(水回りにも適する)
  • 屋外デッキやウッドフェンス(防腐性を生かした外構)
  • フローリング材(やや硬く、傷が付きにくい)
  • 家具や木工品(独特の木目と色合い)
  • 和樽や樽材(水に強いため昔から使用)

木材としての性質

クリ材は、加工性に優れる一方で、乾燥による割れや狂いが生じやすいため、丁寧な乾燥処理が求められます。また、時間が経つとやや褐色に変化し、経年変化による味わいも楽しめる木材です。

木目は比較的はっきりとしており、ナチュラルな風合いを活かしたインテリアに向いています。比重は約0.6〜0.7程度と、広葉樹の中ではやや重めです。

他材との比較

同様に防腐性が求められる屋外用途では、ヒノキやウエスタンレッドシダーなども使われますが、クリ材は薬剤処理なしでも十分な耐久性を持ち、自然素材としての安全性・安心感が魅力です。また、オーク(ナラ)と比較してもタンニン含有量が多く、防虫性ではクリに軍配が上がることもあります。

伝統との関わりと再評価

古民家の土台や床の間の框(かまち)などにも使われていたクリ材は、日本の伝統建築や木工文化に深く関わる素材です。現在では、国産材の再評価や自然志向の高まりにより、あらためてクリ材の良さが注目されています。

豊富なタンニンによる高い保存性、天然素材としての安心感、そして美しい木目といった特性を活かし、これからも多様な場面で活躍が期待されています。


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