化石燃料 かせきねんりょう
人類の発展に多大な貢献をしてきたエネルギー資源
化石燃料とは、地球の地下に埋まっている、古代の動植物の死骸などの有機物が、長い年月をかけて変化してできた燃料のことです。代表的なものとして、石炭(せきたん)、石油(せきゆ)、天然ガスの3つが挙げられます。

燃える石炭
化石燃料は数千万年〜数億年という長い時間をかけて、地中の高い温度と圧力のもとで、動植物の死骸や植物などの有機物が分解されてできたものです。主に以下の3種類があります。
名称 | 主な成分 | 状態 | 主な使用例 |
---|---|---|---|
石炭 | 炭素(C) | 固体 | 発電、製鉄、暖房 |
石油 | 炭化水素(液体) | 液体 | ガソリン、灯油、プラスチック原料 |
天然ガス | メタン(CH4) | 気体 | 発電、都市ガス、暖房 |
これらはエネルギー密度が高く、効率的に熱や電気を生み出せることから、長年にわたって社会の基盤となってきました。
化石燃料の生成メカニズム
化石燃料は、古代の生物(植物プランクトン、陸上植物など)の遺骸が地層に埋まり、圧力や熱などの影響を受けて数百万年~数億年の時間をかけて変質することで生成されました。
- 石炭:陸上植物 → 泥炭 → 褐炭 → 石炭
- 石油・天然ガス:海洋生物 → ケロジェン → 石油やガス
化石燃料の利用と発展
18世紀の産業革命以降、石炭を皮切りに化石燃料は世界中で使われ始めました。20世紀には石油や天然ガスが加わり、工業・交通・家庭におけるエネルギー源として不可欠な存在になりました。
2023年現在でも、世界の一次エネルギーの約80%が化石燃料によって供給されています。
環境への影響
化石燃料の大量利用は、以下のような深刻な環境問題を引き起こしています。
- 地球温暖化:燃焼時に排出される二酸化炭素(CO2)は温室効果ガスの主要因。
- 大気汚染:硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)などが酸性雨や健康被害を引き起こす。
- 資源の枯渇:再生不可能な有限資源であり、将来的に供給が不安定になる可能性。
世界の政策動向と脱炭素の動き
環境への影響を減らすために、世界では脱炭素(Decarbonization)やカーボンニュートラルへの取り組みが進んでいます。
国名 | 主な方針や政策 |
---|---|
日本 | 2050年カーボンニュートラル、2030年に温室効果ガス46%削減(2013年比) |
EU | 「欧州グリーンディール」により2050年までに気候中立 |
アメリカ | 再エネ推進と石油・ガス開発の見直し(政権によって方針変動) |
中国 | 2060年カーボンニュートラル宣言、石炭依存の抑制 |
再生可能エネルギーとの比較と今後の展望
項目 | 化石燃料 | 再生可能エネルギー |
---|---|---|
資源の持続性 | 枯渇する(有限) | 無尽蔵(太陽光・風力など) |
CO?排出 | 多い | ほとんどゼロ |
供給の安定性 | 高い(ベースロード供給) | 気候に左右される |
初期導入コスト | 比較的安い | 高いが低下傾向 |
将来的には再生可能エネルギーへの転換が不可欠であり、「エネルギーの地産地消」や「水素エネルギー」なども重要なテーマとなっています。
化石燃料は、人類の発展に多大な貢献をしてきたエネルギー資源ですが、環境への負荷が大きく、将来にわたっての持続的な利用は困難です。これからは、再生可能エネルギーの活用や省エネルギー技術の進展によって、よりクリーンで安全なエネルギー社会の実現が求められています。