外来種 がいらいしゅ
帰化動物、帰化植物などともいわれる
外来種とは、本来その地域の生態系には生息・生育していなかった生物が、食用やペットなどの目的で人の手で外から持ち込まれた動植物(種)のこと。持ち込みは観賞用・食用・害虫駆除などの「意図的導入」と、貨物・船舶・ペットの逸出などの「非意図的移入」の両方を含みます。
明治時代以降、日本に入って定着した外来種は約2000種に上るといわれています。「外来生物法(※)」では、人や農林水産業に被害を及ぼす外来種を「特定外来生物」として指定し、輸入や飼育などを規制しています。

写真:カミツキガメ … 本来は、カナダ南部から南アメリカ大陸の北西部に生息。
※特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年6月2日法律第78号)
外来種の特徴
- 元来の分布域外に存在する(地域の生態系にとって新参者)。
- 人為的な移動(直接・間接)によって侵入した。
- 新しい環境で繁殖・定着している(定着前の一時的な迷入は除くことが多い)。
「侵略的外来種」との違い
外来種の中でも、在来の生物多様性・人の暮らし・産業に大きな負の影響を及ぼすものは、特に侵略的外来種と呼ばれます。すべての外来種が有害というわけではありませんが、リスクが高い種への重点対策が国際的な基本方針です。
森林・林業への主な影響
- 競合・捕食・遺伝子攪乱:在来種の餌・営巣場所を奪い、交雑によって在来系統を損なう。
- 病害の持ち込み:例として、外来の線虫や病原菌が樹木に被害を与え、山林景観や材の供給に打撃を与える。
- 植生の改変:外来樹木や草本が繁茂し、更新・下層植生・土壌保全機能が低下する。
- 経済的損失:苗畑・人工林での被害、巡視・防除コストの増大、観光・文化景観への影響。
代表例(日本)
- 動物:アライグマ、ヌートリア、ウシガエル、ミシシッピアカミミガメ、カミツキガメ、ブラックバス(オオクチバス)、ブルーギル。
- 植物:セイタカアワダチソウ、オオキンケイギク、ハリエンジュ(ニセアカシア)、ナガミヒナゲシ など。
- 昆虫・その他:アルゼンチンアリ、セアカゴケグモ、外来線虫類(森林病害の原因となるものを含む)。
※ 日本原産の種が海外では外来種として問題になる例もあります(例:クズ〈海外での侵略的拡大〉)。
国内の法制度とリストの考え方(概要)
日本では、外来生物法(正式名称:特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)に基づき、被害のおそれが大きい種を特定外来生物に指定し、飼養・栽培・運搬・販売・野外への放出等を規制しています。加えて、被害防止の観点から整理した各種の外来種リスト(例:生態系被害防止外来種リスト)が整備され、注意喚起や対策の目安となっています。
対策の基本原則(森林・林業現場での要点)
- 予防:持ち込まない・逃がさない・捨てない(清掃・機材の土砂付着防止、苗木や資材の由来確認)。
- 早期発見・迅速対応:分布初期の発見体制(巡視・市民科学)と、再生産前の除去。
- 定着後の管理:継続的な防除、根絶が困難な場合は被害低減(封じ込め・生息地回復)。
- 情報共有:地域での目撃・防除結果を記録し、自治体・関係機関と連携する。
- 法令遵守:特定外来生物は手続・許可が必要な場合があるため、最新の規制内容を確認する。
よくある誤解
- 「外来種=すべて悪」ではありません。影響は種や地域により異なり、重点管理が有効です。
- 「放しても元に戻る」は誤りです。いったん定着・拡大すると、根絶は極めて困難になります。
- 国内移動による地域外来種(国内別地域由来の移入)も在来生態系を乱すことがあります。
用語メモ
在来種 | 自然の過程でその地域に分布してきた種。 |
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外来種 | 人為的な関与で他地域から持ち込まれ定着した種。 |
侵略的外来種 | 外来種のうち、影響が大きく管理優先度が高いもの。 |
地域外来種 | 国内の他地域由来の移入で、その地域にとって外来の扱いとなるもの。 |
逸出・野外放出 | 飼養・栽培個体が逃げ出す、または人が野外へ放つこと。 |