保安林 ほあんりん

人や社会を守るための森林

保安林(ほあんりん)とは、災害の防止や水資源の保全など、人々の生活や環境を守ることを目的として指定されている森林のことです。日本では森林法に基づいて指定され、特別な保護と管理が行われています。

保安林 人や社会を守るための森林の写真

水源涵養保安林|北八ヶ岳・八千穂高原

保安林とは

保安林とは、災害の防止や水資源の保全、地域の安全な暮らしを守ることを目的として、森林法に基づいて国や都道府県によって指定される特別な森林です。日本各地の山や沿岸部、農村地帯などに広く存在し、社会や自然環境を守る「機能的な森林」として重要な役割を担っています。

保安林の役割

たとえば、山の急斜面にある保安林は、土砂崩れや土石流の発生を防ぎ、ふもとの住民の命や財産を守っています。また、水源の近くにある森林は、雨水を地中に浸透させることで川や地下水の流れを安定させ、水資源を保つ働きをしています。さらに、海岸や農地のまわりに植えられた森林は、潮風や砂の飛散を防ぎ、農作物や住宅を守ります。雪深い地域では、雪崩や吹雪の被害をやわらげる保安林も存在しています。

保安林の種類

保安林は、その目的に応じて「土砂流出防備保安林」「水源かん養保安林」「防風保安林」「防雪保安林」「潮害防備保安林」など、計17種類に分けられています。それぞれの森林が担う役割は異なりますが、共通して言えるのは、人の暮らしや自然環境を守るという使命をもって育てられているという点です。

保安林の種類 主な目的・役割
1土砂流出防備保安林土砂の流出や山崩れを防ぎ、下流の住宅や道路を守る
2土砂崩壊防止保安林崩れやすい斜面の土砂崩壊を防止
3薄層崩壊防止保安林表土の流出や小規模な地表面の崩れ(薄層崩壊)を防ぐ
4雪崩防止保安林雪崩の発生を防ぎ、山麓の集落や道路を保護
5落石防止保安林斜面からの落石を防止し、周辺への被害を防ぐ
6防風保安林強風による農作物や建物への被害を防ぎ、風害を軽減
7防雪保安林吹きだまりや地吹雪を防ぎ、雪害から道路や住宅を守る
8防潮保安林高波や高潮による海水の侵入を防ぎ、海岸線を保護
9潮害防備保安林塩害(海水による農地や建物への被害)を防ぐ
10干害防備保安林干ばつを防ぎ、土壌の水分保持や気候の安定化を助ける
11水害防備保安林洪水や河川の氾濫による被害を抑える
12水源かん養保安林雨水を地中に浸透させ、水資源を安定的に供給する
13湖沼の水質保全保安林湖や沼の水質を保ち、水の浄化や生態系保全に貢献
14魚つき保安林沿岸部の森林が水産資源の繁殖環境を支え、漁業資源を守る
15航行目標保安林航行の目印となる森林を保ち、船の安全航行を助ける
16防火保安林火災の延焼を防止し、集落や森林の火災被害を最小限にとどめる
17鳥獣の保護保安林野生鳥獣のすみかや繁殖地を守り、生物多様性を保全する

保安林の制限と管理

保安林には一般の森林とは異なり、さまざまな制限がかけられています。たとえば木を伐るには行政の許可が必要であり、勝手に開発したり土地の用途を変えたりすることもできません。これは、保安林が持つ機能が損なわれることを防ぐためです。管理や整備は森林の所有者が行うことになっていますが、国や自治体による支援が行われる場合もあります。


このように保安林は、単に木材を生産するための森林とは異なり、地域の安全や環境保全のために存在する、いわば「守るための森」なのです。地球温暖化や気象災害が深刻化する今、保安林の重要性はますます高まっていると言えるでしょう。


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