木馬道 きうまみち/きんばみち/きんまみち

林業で使われた木材搬出路

木馬道(読み:きうまみち/きんばみち/きんまみち)とは、かつて日本の林業において使用されていた木材の搬出路の一種です。特に、山間部で伐採された木材を運び出すために整備されたもので、トロッコや木馬(そり状の運搬具)を利用して木材を運搬していました。

木馬道 林業で使われた木材搬出路の写真

林業で使われた木材搬出路
〔写真〕国土交通省松本砂防事務所

構造と仕組み

木馬道は、道の上に枝や丸太を並べてレール状にした簡易な軌道のようなもので、今日の森林鉄道の前身ともいえる存在です。地面に直接木材を引きずるのではなく、摩擦を減らすために木の枝や小丸太(枕木状のもの)を一定の間隔で敷き、その上を木馬やトロッコが滑るように移動できるように工夫されていました。

語源と読みの違い

「木馬道」という名称には地域や時代によっていくつかの読み方があり、主に以下のように読まれます:

  • きうまみち(木馬=木製のそりや台車を意味する古語的な読み)
  • きんばみち/きんまみち(「木馬」を「きんば/きんま」と読む方言的用法)

歴史的背景

木馬道は、近代的な林道や森林鉄道が整備される以前、江戸時代から昭和初期にかけて多くの山村で使用されていました。特に、山深くトラックの入れない地域では重宝され、人力や牛馬の力を使って材木を山から里へと運び出していたのです。

現在の木馬道

現代では木馬道そのものはほとんど使われていませんが、一部の歴史的林業遺産として保存されたり、林業体験の一環として再現されたりする例もあります。木馬道は、日本の林業技術の原点を物語る貴重な文化的資源といえるでしょう。


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