合板とは? 種類や特徴などをやさしく解説
木の薄い板(単板)を何枚も貼り合わせて作った板
木を薄くスライスしてできた板を「木目の向きが交差するように」重ねて、接着剤で貼り合わせた板。重なる枚数は、3枚、5枚、7枚などの奇数枚で作られていることが多い。

木目の方向を交差させて貼り合わせた合板(写真は3枚の合板)
合板とは
合板(ごうはん)は、木材を薄くスライスした「単板(たんぱん)」と呼ばれる板を、木目の方向が交差するように何枚も重ね合わせ、接着剤で貼り付けて作られる木質材料です。一般的には3枚、5枚、7枚など奇数の単板を組み合わせており、それぞれの木目の方向を直角に交差させることで、反りや割れを防ぎ、均一で強度のある板に仕上げられます。
この構造により、無垢材(自然のままの木の板)に比べて、湿気や温度変化による変形が少なく、扱いやすいという特長があります。こうした性質から、住宅の床や壁の下地材として使用されたり、家具の背板や棚板、DIY用途にも幅広く活用されています。
また、合板は比較的安価で安定した品質を保ちやすく、大量生産にも適しているため、現代の建築や木工の現場には欠かせない素材のひとつとなっています。
合板の種類
合板には、用途や製造方法、使用する接着剤などの違いによって、さまざまな種類があります。以下は、一般的な分類方法に基づいた主な合板の種類です。
1. 普通合板(一般合板)
建築や内装、家具など幅広い用途に使われるもっとも一般的な合板です。表面の仕上げはそれほど重視されず、構造材や下地材として使われることが多いです。
2. コンクリート型枠用合板
建築現場でコンクリートを流し込む「型枠」として使われる合板です。水や湿気に強い接着剤を使用し、耐久性に優れています。何度も繰り返し使えるよう表面がコーティングされているタイプもあります。
3. 化粧合板(化粧ばり合板)
見た目を美しく仕上げるために、表面に美しい木目模様の単板や樹脂シートなどを貼り付けた合板です。家具や建具、壁面装飾など「見せる部分」に使われます。
4. 構造用合板
建物の構造体(壁、床、屋根など)に使われる強度重視の合板です。JAS(日本農林規格)で定められた強度基準を満たしており、耐震性や耐風性を考慮した住宅づくりに適しています。
5. 耐水合板・防水合板
接着剤や加工方法によって高い耐水性を持たせた合板です。屋外や水回りなど湿気の多い場所で使用されます。
6. 難燃合板
火に強い薬剤を加えることで、燃えにくく加工された合板です。防火性能が求められる建築物の内装などに使用されます。
7. ラワン合板・シナ合板など(樹種による分類)
使用する単板の樹種によって呼び分けられることもあります。たとえば、
- ラワン合板:東南アジア産のラワン材を使った合板で、汎用性が高い。
- シナ合板:国産のシナ材を使ったもので、表面がなめらかで加工しやすいため、家具や内装に適しています。
合板の製造工程について
合板は、まず丸太を「ロータリーレース」という機械で回転させながら、かつらむきのように薄くスライスして単板を作ります。次に乾燥、選別を経て、木目の方向を交互にして重ね、接着剤を塗って高温・高圧で圧着します。最後に必要なサイズに切断して仕上げます。
合板のサイズと厚み
合板は通常、「3尺×6尺(約910mm×1820mm)」という規格サイズで流通しています。厚みは用途に応じて3mm、5.5mm、9mm、12mm、15mm、24mmなどさまざまです。住宅建築では、床下地に12mm〜24mmが使われることが多いです。
合板のメリットとデメリット
メリット
- 木目の交差構造により、反りや割れが少なく安定している…湿度や温度変化に強く、安定しています。
- 木材資源を効率的に使用できる…丸太をスライスして使うため、無垢材に比べて木材資源を効率的に利用できます。
- 大量生産が可能で、コストが抑えられる…比較的安価で大量生産が可能なため、広い面積にも使いやすいです。
デメリット
- 見た目が天然木ほど美しくないことがあります。また、表面に節や色ムラが出る場合があり、仕上げが必要になることもあります。
- 接着剤に含まれる成分(例:ホルムアルデヒド)が、室内環境に影響を与える可能性があるため、F☆☆☆☆(フォースター)などの低ホルムアルデヒド等級の製品が推奨されています。
合板と他の木質材料との違い
MDF(中密度繊維板)やパーティクルボードなども木材を加工した材料ですが、これらは「木の粉やチップを圧縮して固める」方式です。一方、合板は「薄い板を重ねて接着する」方式です。そのため、合板のほうが構造材としての強度や耐久性が高いとされています。
環境と合板
最近では、持続可能な森林から伐採された木材を使用した「FSC認証」や「PEFC認証」の合板や、ホルムアルデヒドの放散が少ない「F☆☆☆☆」等級の製品など、環境や健康への配慮がなされた合板が増えています。合板を選ぶ際には、こうした環境面の表示にも注目するとよいでしょう。