しいたけ原木 しいたけげんぼく

ナラやクヌギが育む、香りとうま味のきのこ栽培

しいたけ原木(しいたけげんぼく)とは、しいたけ(椎茸)を栽培するために使われる木材(ほだ木)のことです。自然の木を使った原木栽培は、菌床栽培とは異なり、より自然に近い環境でしいたけを育てる方法として知られています。

主な原木樹種とその特性

しいたけ原木として適しているのは、以下のような広葉樹です

  • ナラ(コナラ・ミズナラ)
  • クヌギ

これらの樹種は、しいたけの栽培に非常に適しており、いくつかの優れた特徴を備えています。まず、しいたけの発生量が多く、安定した収穫が見込めるため、長期間にわたって効率的に栽培することができます。また、原木自体の寿命も長く、3年から7年ほどのあいだ収穫が可能とされており、持続的な生産が期待できます。さらに、こうした原木で育てられたしいたけは、香りや歯ごたえ、風味に優れた質の高いものになる傾向があります。特にクヌギは栄養分が豊富で、肉厚で味の良いしいたけが育つと言われ、多くの生産者に重宝されています。

しいたけ原木栽培の魅力

しいたけ原木栽培には、いくつもの魅力があります。

まず第一に、香りとうま味に優れた風味豊かなしいたけが育つという点です。原木栽培は自然環境に近い条件で行われるため、そこで育つしいたけは、まるで天然のきのこのような深い味わいと香りを持ちます。

また、収穫期間が長いのも大きな特徴です。原木に菌を打ち込むと、翌年から少しずつしいたけが発生し始め、その後も数年間にわたって継続的に収穫することができます。このように、安定した供給が可能であることは、生産者にとっても大きなメリットです。

さらに、環境への配慮が行き届いた循環型の栽培方法であることも見逃せません。伐採された木材を原木として有効活用し、役目を終えた原木は堆肥や薪などに再利用されます。このように、原木栽培は資源を無駄にせず、持続可能な林業や地域循環に貢献するエコな取り組みといえるでしょう。

しいたけ原木の準備と栽培管理のポイント

しいたけ原木の準備においては、まず伐採の時期が重要です。原木に適した樹種であるナラやクヌギは、冬季(葉が落ちた時期)に伐採するのが理想とされています。これは、木が休眠期に入ることで栄養の流出が少なく、しいたけ菌(種菌)が活着しやすいためです。

伐採後の木はすぐに使用せず、1〜2か月ほど「寝かせて」乾燥・水分調整を行います。この工程により、含水率が適度に下がり、植菌時に菌が広がりやすくなります。乾燥させすぎても菌の活着に悪影響を及ぼすため、置き場所や期間の調整も重要です。

その後、ドリルなどで穴を開け、種菌を打ち込む「植菌作業」を行い、日陰で通気性のよい場所にほだ木(しいたけ原木)を組んで寝かせておきます。原木からしいたけが発生するまでには半年〜1年ほどかかりますが、その間は湿度管理や害虫・カビの発生に注意しながら、こまめな観察と手入れが求められます。

このように、しいたけ原木とは、ナラやクヌギなどの広葉樹を用いた、しいたけ栽培専用の木材であり、香り豊かで質の高いしいたけを長期間(3〜7年)収穫できるのが大きな特徴です。自然の力を活かし、時間をかけてじっくり育てるこの方法は、伝統的かつ環境にやさしい持続可能な栽培手法として、今も多くの生産者に支持されています。

🍄「しいたけ」ってどこからくるの?

みんなは「しいたけ」って食べたことあるかな? お味噌汁に入ってたり、焼いて食べたり、ちょっと苦手って子もいるかもしれないけど、しいたけはとっても体にいいキノコなんだよ。

でもね、このしいたけ、どうやって育てられているか知ってる?

実は、しいたけは「しいたけ原木(げんぼく)」っていう木の丸太から生えてくるんだ!

これは「ほだ木(ほだぎ)」っていう呼び方もあるよ。

🌳どんな木が使われているの?

しいたけ原木には、ナラやクヌギっていう木が使われるんだ。

どちらも日本にたくさん生えている木で、昔から森や山にあるなじみのある木だよ。

冬になると木の葉っぱが落ちて、木が「おやすみモード」に入るの。
その時期に切って、少しだけ寝かせておいてから、しいたけの赤ちゃん(=菌)を植えこむんだ。

🍄木からキノコがはえるってすごい!

春になってあたたかくなってくると、木の中に入ったしいたけの菌が元気になって、「にょきにょきっ」としいたけが出てくるよ!
この栽培方法は、森の自然をそのまま活かしたやり方なんだ。

木はそのまま捨てられることなく、最後には燃やして薪(まき)になったり、畑の肥料になったりするの。
ムダがなくて、地球にもやさしい育て方なんだね✨

✅ちょこっとまとめ!

  • しいたけは「しいたけ原木」っていう木から育つよ
  • ナラやクヌギの木が使われているよ
  • 木にしいたけの菌を植えて、お世話しながら育てるよ
  • 環境にもやさしい栽培方法なんだ♪

🌱木としいたけ、人と自然が協力してつくる食べもの。今度しいたけを食べるときは、「木から育ったんだ!」って思い出してみてね!

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